「バネさんは嫌」は褒め言葉…元日本ハム捕手・黒羽根利規氏インタビュー(中)

スポーツ報知
鎌ヶ谷のファイターズスタジアムでノックを受ける黒羽根(カメラ・川口 浩)

 昨季まで日本ハムでプレーした黒羽根利規氏(33)が、第2の人生を歩み始めた。昨季限りで現役を引退し、BC栃木のバッテリーコーチに就任。15年にわたる現役生活の中での経験や苦労話、指導者として歩み出す今後に向けての目標などを3回に分けてお届けする。第2回は捕手として味わった難しさや面白さ、また指導者として歩み始めた現在について。(取材・小島 和之)

 捕手は「扇の要」や「女房役」と形容されるポジション。責任や負担は大きい反面、活躍が表立って評価されることは少ない。縁の下の力持ちのような役割の中で、心がけたのは「いかに相手から嫌がられるか」だった。

 「(2軍戦の)鎌ケ谷でDeNAと試合をすると『バネさんはしつこいから嫌だ』とか言われるけど、自分からしたらすごい褒め言葉。結果打たれたりとか、抑えたりとかは別として、そこまでの過程で『バネさんがキャッチャーだとマジで嫌。しつこいし、見透かされている感じがする』と言われたら(捕手の)勝ち。そういうのは心がけてやっていた。相手が嫌がることはなんだろうって。それがうまくできなかったから、完成する前に選手としては終わってしまったんですが」

 野球界では「リードに正解はない」とも言われる。それだけに、現役生活を終えた今でも捕手としての正解が何なのかは、分からないままだという。しかし奥が深いからこそ、捕手というポジションは面白いのだとも感じている。

 「捕手って正解がないし、ゴールが見えない。だからこそ、面白いんだと思います。ゴールが見えないということは、もっと野球を知らなきゃいけない。だんだんと分かってきたと思ったら、また違う穴に落ちる(失敗する)可能性もある。だから試合にフルで出て、難しい試合に勝ったときには捕手が1番喜べるのかなと思うんです」

 苦楽を味わったプロ野球選手としての生活を終えて、どんな現役生活だったと感じているのか。

 「いろんなことを経験させてもらった。良いときも悪い時も。黒羽根利規の能力で言えばよくやった方なんじゃないかなと自分では思う。後悔はゼロじゃないけど、できることはやったかな、できたかなという感じです。横浜時代、日本ハム時代、良いときも悪い時も僕の中ではファンの方がいてくれたからここまでやってこられた。本当につらい時でも、ファンの方の一言でもうちょっと頑張ろうと思えた。ファンの方がいてくれたからこそ15年できたと思う。これからもファンの方が好きな選手、ワクワクするような選手を一人でも多く応援してもらえたらなと思います」

 BC栃木のバッテリーコーチに就任した現在は、栃木県内にアパートを借りて単身赴任中。現在は自主練習期間のため、選手の動きを監督する立場として目を光らせる日々だが、毎日が充実しているという。

 「めちゃくちゃ楽しみがある。教えるにあたって知識がなければいけないし、指導したことがその子の今後の野球人生に関わってくるので責任を感じている。環境は全く違うけど、すごく楽しみの方が多いかもしれない」

 指導者としての道を歩み始めたばかりではあるが、現役時代との共通点も感じている。

 「去年くらいから、そういう(指導者のような)目で(周囲を)見ていた。鎌ケ谷でも『この子はもうちょっとこうした方がいいのかな』とか思いながら、自分の練習をやっていた。それがあったから、こうしなきゃ、ああしなきゃというのはそこまではないかもしれない。(高卒3年目捕手の)田宮(裕涼)だったら、コーチからどういうことを言われているのかをある程度頭に入れながら、それを邪魔しないような助言だったりとか。そういうのは考えて、言葉を選んでやっていました」

 現役時代から行っていた周囲を観察する姿勢は、指導者になった現在も大きく生かされている。

【(下)へ続く】

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