◆大阪国際女子マラソン(31日、長居公園周回コース=42・195キロ)
大会史上初の周回コースで行われ、21年東京五輪代表内定の一山麻緒(23)=ワコール=が、大会新となる2時間21分11秒で優勝。野口みずきさんが持つ2時間19分12秒の日本記録更新はお預けとなった。一山は20年名古屋ウィメンズで女子の国内最高記録となる2時間20分29秒をマークし、期待が集まっていた。
新型コロナウイルス感染防止対策を徹底するため、大会直前に急きょ1周2・8キロの周回コースに変更した異例の今大会。閑散とした長居公園の中、プロランナー川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)ら3人の男子ペースメーカーに先導され、日本記録更新の目安となる1キロ3分17~18秒の快調なペースを刻んでいった。
異変は12キロ付近。一山とともに、トップを走っていた東京五輪内定の前田穂南(24)=天満屋=の動きが少し硬くなり、下を向くしぐさもみられた。ペースメーカーを含む5人の集団最後方につけてレースを進めたが、13キロ過ぎでじわじわと遅れ始め、14キロでは先頭を走る一山との差が10メートル以上に。日本記録への挑戦は、一山ひとりに絞られた。
一山は15キロを日本記録ペースで通過し、その後もスピードを維持して周回を重ねた。20キロは1時間5分58秒、ハーフは1時間9分35秒で通過した。日差しを浴びて額には汗が目立ったが、給水をしっかりと取って水分補給に努めた。
25キロは1時間22分38分で通過。ハーフ以降は、先頭の川内に少し遅れては追いつくことを繰り返し、1キロのペースも3分20秒を超えて日本記録ペースからは遅れて正念場を迎えた。30キロは1時間39分40秒で通過し、日本記録更新は難しい状況に。ただ、その後も粘り、独走Vで貫禄は示した。
コロナ禍で東京五輪へ先行きが見通せない中、確かな調整ぶりと力を示した。本大会まで、今戦が最後のフルマラソンとなる可能性が高い。1年延期となり、五輪本大会の前に序盤から実戦で日本記録を狙う挑戦ができたことは貴重な糧。残り半年、大阪で得た材料を、本番の舞台へと生かしていく。
一山麻緒(18年ぶり大会新で優勝)「日本記録、それだけのために練習してきたので、今は悔しいですね。このような開催も難しい中で、選手のために予定どおり開催してくださって、この大会で本当は日本記録を出したかった。力不足で達成できなくて楽しみにしてくれた方には申し訳ないけど、開催して下さってありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。今日のレースの日本記録のペースが体感できたので、今自分がこのくらいでしか走れないと分かったので、もっともっと強くなれるように頑張りたいです。堂々と五輪のスタートラインに立てるように、これからも頑張っていきます」
※記録は全て速報値。