ヤンキースとの7年契約を終えフリーエージェント(FA)となっていた田中将大投手の楽天復帰が決まった。
昨季の田中はサマーキャンプでの打撃投手で頭部に打球を受けて、開幕に出遅れて規定投球回に達しなかったものの今オフのFAランキングの10位。昨年の年俸2300万ドル(約24億円)は無理としても、1000万ドル(約10億4000万円)前後の価値がある投手として知れ渡っていた。
ただし、米大リーグは昨年、新型コロナウイルス感染拡大によって試合数が60試合&無観客で、各球団平均1億ドルの損失があったという。そのため今オフの移籍市場は大きく停滞している。個人的にも選手の受取額は労使の取り決めで年俸の37%(田中は約850万ドル)に終わっている。
この感染者が高止まりし続け混迷している米国事情。今季も15球団がキャンプを張るアリゾナ州の各市長らが「キャンプを遅らせて欲しい」、との要求を出すなど開幕も不透明になっていることが、日本復帰の大きな要因だと思う。昨年120試合をこなした日本プロ野球の方がいいという賢明な判断。自身だけでなく家族にとっても安心なのではないか。
もう一つ、本人は金額以上に7年間親しんだヤンキース残留が希望だったのだと思う。同じヤンキースに7年間在籍し2009年のワールドシリーズMVPにも輝いた直後の松井秀喜(結局エンゼルスに移籍)でも、再契約を結べずにFAになった帝国ヤンキースのシビアさを、改めて痛切に感じているのではないだろうか。
2年契約だと言われ1年後で米国復帰もある契約解消のオプトアウトの権利もあると伝えられているが、米球界が改めて触手を伸ばすには、エース級の活躍が必要だ。私はそんな腰掛けでは無く、このまま日本球界にとどまってプレーし続けて欲しいと願っている。 蛭間 豊章(ベースボールアナリスト)
コラムでHo!とは?
スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。