栃木・石橋の福田博之監督 21世紀枠3度目の候補「このチャンスはぜひものにしたい」 29日選考委員会

甲子園への思いを語る石橋・福田監督
甲子園への思いを語る石橋・福田監督

 第93回センバツ高校野球大会(3月19日開幕・甲子園)の選考委員会が29日に開かれる。21世紀枠の東京・関東地区の候補に挙がる石橋(栃木)は、17年に続くノミネート。福田博之監督(55)は、03年の真岡を含め3度目の地区候補選出となる。高校野球を指導して35年目。栃木の公立校の隠れた名監督にとって、甲子園はどのような存在なのだろうか。(浜木 俊介)

 石橋は、昨秋の栃木県大会で準優勝。準決勝で最大の難敵・作新学院を破って16年に続く関東大会進出を果たし、21世紀枠の地区候補に選ばれた。強豪私学がひしめく地区。最近5年で関東大会に駒を進めた公立校は延べ9校で、2度出場したのは石橋のほか全国優勝の経験がある千葉の名門・習志野だけだ。

 「公立で関東に行くのは厳しい。運良く5年間で2回。このチャンスは、ぜひものにしたい。もしも選ばれたら、4年前の子供たちの思いと合わせてうれしいでしょうね」と福田監督は選考委員会を目前にしての心境を語った。

 03年センバツでは、監督を務めていた母校・真岡が地区候補に選ばれた。石橋、真岡は、ともに栃木県の旧制中学校として創立され、文武両道を掲げる伝統校。今回の選考でも、「県下有数の進学校」であることが候補に選ばれた理由の一つに挙げられている。

 「野球があって勉強もやる。人としての強さがあると思います。愚直に基本的な練習を続けることができる。それが、進学校の生徒です」。真岡の部長だった98年には関東大会で準々決勝に進出し、翌年のセンバツで補欠校になったこともある。

 福田監督の球歴には、3年間の“空白”が存在する。小学5年から軟式の学童野球を始め、教員になってもクラブチームでプレーした。ところが、高校時代は野球部に所属していない。「中学の時に上手だった仲間が、みな野球をやらなかったんです。自分に自信があるわけでもなかったので…」。白球を手放し、甲子園を夢見ることもなく過ごす日々。「もんもんとしていましたね」という時期を経て宇都宮大に進学すると硬式野球部に入部し、胸の奥底にしまっていた高校野球への夢を指導者として形にしたいと考えるようになっていた。

 8歳だった73年夏。栃木の英雄・作新学院の江川がサヨナラ押し出しで銚子商(千葉)に敗れた伝説の一戦は、記憶の片隅に残っている。甲子園への憧れは、野球人生の原点。お盆に1日休みがあると、1人で夜行バスに乗って“ゼロ泊”の甲子園弾丸ツアーを行ってきた。「三十何年間も指導して一度も甲子園に行っていないと、『何のためにやっているのかな?』と思うことがあります。『そうだ、ここに来るためなんだ』と改めて感じることができるんです」。その数は10回以上に上るという。

 センバツには、一度だけ足を運んだ。21世紀枠での出場を逃した17年。偶然にも目にしたのは、関東大会の1回戦で対戦して敗れた東海大市原望洋の試合だった。「もしも行っていれば、こうだったんだろうな…。そう思って見ていました」。好きな作家は池井戸潤氏。ドラマ化された「半沢直樹」のように、逆境で踏ん張る主人公の姿に触れ「よし、頑張らなくては」と自身を奮い立たせてきた。

 ひと筋に栃木県の公立校を指導して35年目を迎える。「二度と高校野球ができない自分が、一番甲子園のグラウンドに立ちたいのかもしれませんね」。高校野球に背を向けた3年間を情熱のベースとして積み重なった聖地への思いとともに、運命の日を迎える。

 ◆福田 博之(ふくだ・ひろゆき)1965年9月28日、栃木県生まれ。55歳。祖母井小5年で学童野球を始め、芳賀中では外野手。真岡に進学するも、野球部には入部せず。宇都宮大教育学部に進み、硬式野球部に所属。卒業後は宇都宮大OBクラブでプレーした。指導歴は壬生(87~97年)で監督、真岡(97~2004年)で部長・監督、宇都宮北(04~16年)で監督、16年4月から石橋の監督を務める。

 ◆21世紀枠 01年の73回大会から導入された特別枠。困難の克服、地域への貢献、文武両道など、戦力以外の特色も加味して選考される。例年は3校だが、コロナ禍で昨秋の明治神宮大会が中止になったことで今年は消滅した「神宮大会枠」の1校分が加わる。石橋以外の候補校は、知内(北海道)、八戸西(青森=東北)、三島南(静岡=東海)、富山北部・水橋(富山=北信越)、東播磨(兵庫=近畿)、矢上(島根=中国)、川之石(愛媛=四国)、具志川商(沖縄=九州)。

 ◆石橋 栃木県下野市にある県立校。1924年創立。野球部は1935年創部。全校生徒711人。野球部員は31人(うち女子4人)。文武両道を実践し、昨年度は121人が現役での国公立大の合格を果たした。著名な卒業生に、作家の室井佑月さん。

 【石橋の秋季成績】

 ▽栃木県大会

1回戦 6―2 真 岡 工

(延長10回)

2回戦 2―1 宇都宮商

3回戦 2―1 足利大付

準々決勝 9―2 足 利 工

(7回コールド)

準決勝 3―2 作新学院

決 勝 5―6X 国学院栃木

 ▽関東大会

1回戦 0―7 東海大相模

(7回コールド)

 最大のヤマ場は、関東大会出場を懸けた準決勝の作新学院戦。0―1で迎えた6回表1死満塁、前の試合までスタメン外だった石川慶悟(2年)が走者一掃の三塁打を放った。決勝は、4回表まで4―0とリードする展開でのサヨナラ負け。「勝たなければいけない試合でした」と福田監督は話す。関東大会は初戦で東海大相模にコールド負けを喫したものの、4回までは0―1。「レベルの高さを痛感しましたが、途中までは自分たちのペースで戦えたと思います」と振り返った。

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