◆大相撲初場所千秋楽 〇大栄翔(突き出し)隠岐の海●(24日、東京・両国国技館)
西前頭筆頭・大栄翔(27)=追手風=が悲願の幕内初優勝を飾った。勝てば優勝、負ければ決定戦の可能性があった西前頭5枚目・隠岐の海(35)=八角=との一番を突き出しで制し、自己新の13勝目。優勝制度ができた1909年以降113年目で、埼玉県出身力士として初めて賜杯を抱いた。支えてくれた母・恵美子さん(58)、兄・一直(かずなお)さん(30)に最高の恩返しを果たした。
母の恵美子さん、兄の一直さんをはじめ、後援会会員を含む15人ほどが埼玉・朝霞市内の飲食店に集い、声援を送った。ハンカチを握りしめテレビを見つめた恵美子さんは、優勝が決まると「親孝行な息子」と目を潤ませた。一直さんも「自分の相撲をできたことが優勝につながった」と喜んだ。
会員の榎本良典さん(59)は娘の美紅さんが大栄翔と同級生。小2年の美紅さんがひき逃げ事故に遭った際、真っ先に知らせてくれたのが大栄翔だった。「昔から正義感があった」と声を弾ませた。後援会関係者によると、商工会と提携して地元商店街各店舗による優勝記念セールも計画。恵美子さんは周囲の支えに感謝し、「次は番付。けがなくまた一歩ずつ進んでくれれば」と願った。
(小口 瑞乃)