「五輪中止、32年開催」と英紙報道も内閣官房が打ち消し、組織委やIOCは完全否定

五輪のモニュメントと国立競技場
五輪のモニュメントと国立競技場

 英紙タイムズ(電子版)は21日(日本時間22日)、今夏の東京五輪(7月23日開幕予定)を巡り、新型コロナウイルスの感染拡大により「日本政府が大会を中止せざるを得ないと内々に結論付けた」と報じた。内閣官房、五輪組織委が報道内容を完全否定したほか、東京都の小池百合子知事が「抗議すべきだ」と激怒。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長はIOC委員との会合で従来通りに開催を目指す考えを示した。23日で開幕まで半年を迎えた東京五輪の開催を巡り、世界からの懐疑的な視線は容易に変わりそうになく混乱は続きそうだ。

 開幕まで半年に迫った東京五輪を巡るドタバタは収まらない。タイムズ紙は「日本がコロナにより五輪脱出を模索」と題した東京発の記事を掲載。「日本政府が大会を中止せざるを得ないと内々に結論付けた。今は次に可能な2032年大会の開催を確保することに焦点が当てられている」と伝えた。さらに連立与党幹部の話として「誰も最初に言いたがらないが1年延期された大会は絶望的だとの認識で一致している」との証言を紹介した。

 15日に米ニューヨーク・タイムズ紙が大会中止の可能性を指摘したが、さらにその色を強めた内容となった。日本の関係各所は大慌てで火消しに奔走。五輪組織委が「全ての関係機関が、今年の夏の大会開催に完全に注力している」、内閣官房も「そのような事実は全くございません」と完全否定した。小池都知事も怒り心頭で「中止だとか延期だとかの話は出てきていない。むしろ(タイムズ紙に)抗議を出すべきではないか」と苦言を呈した。

 IOCは「絶対に事実ではない」との声明を発表。バッハ会長も22日、各国・地域の国内オリンピック委員会(NOC)とのオンライン意見交換で、大会開催への固い決意を示し、報道については「フェイクニュース」と否定したという。

 混乱に拍車をかけたのが、坂井学官房副長官だった。この日午前の記者会見で「どこかの段階で当然、実際に開催するかどうかの判断を行う」と口を滑らせた。中止も視野に入れているかのような発言に、IOCのバッハ会長から橋本聖子五輪相に事実確認の電話があったという。橋本氏は菅義偉首相と協議の上でバッハ会長に開催の方針に変更がないと伝え、夕方には「政府の方針とは全く異なる」と坂井発言を打ち消した。

  • 東京五輪競技施設の建設費と収支状況

    東京五輪競技施設の建設費と収支状況

 開催の場合、焦点は観客数になる。検討されているパターンは3つで、〈1〉通常開催〈2〉50%への削減〈3〉無観客―。日本側は観客を入れることを希望しているが、無観客が“最後の砦(とりで)”として浮上。これまで否定的だったバッハ会長もここへ来て「タブーはない」と軟化している。

 実施形態については、大会関係者が「(3月10日からの)IOC総会(アテネ)で方向性が出されるだろう」との見通しを明かした。ただ、コロナの猛威は収まっておらず、緊急事態宣言の期間延長などの措置も、十分考えられる。2月からIOC総会までは最適解を探る厳しい調整を強いられそうだ。関係者の固い決意とは裏腹に、大会を覆う暗雲に晴れ間は見えていない。

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