1年延期された東京五輪までまもなく半年。昨年12月の競泳日本選手権男子200メートル自由形で2位に入った高橋航太郎(26、自衛隊)=静岡東高出=が最終選考会となる日本選手権(4月3日開幕、東京アクアティクスセンター)へ意気込みを語った。
昨年12月の日本選手権で高橋が、東京五輪への手応えをつかんだ。得意の200メートル自由形で2位と大躍進。「選手権では、19年の(200メートル自由形)4位が最高で表彰台は初めて。今年に向けて勢いをつけられたと思う」。自己ベスト(1分48秒05)にはわずかに及ばなかったものの、1分48秒37と及第点を付けるには十分なタイムだった。
五輪会場でもある東京アクアティクスセンターでの大会で気合が入った。「会場の雰囲気を知れたことがすごく、大きかった」。今夏の本番だけでなく、4月の五輪最終選考会となる日本選手権でも使用予定の会場で泳ぎ、五輪に出たいという思いが一層、強まった。
静岡東高時代は、ほぼ無名な存在。鹿屋体大へ進学後も決して、目立った選手ではなかった。「最初は、練習についていけなくて女子のレーンに入っていたほどだった」。大学時代は個人メドレー中心だったが、卒業してからフリーに転向。遅咲きながら19年の世界選手権800メートルリレーの日本代表に選出されるまでに成長した。
緊急事態宣言の影響で、14日から予定していた長野での高地合宿は中止となったが、調子は問題ないという。「年末年始は、31日だけ休んであとは泳いだ」。今年初戦は2月のジャパンオープンの予定で、100&200メートル自由形と200個人メドレーにエントリー。「(200メートルでは)50から150の中間100メートルのラップを意識して取り組みたい。1分46秒台ならリレーメンバーに入れると思う」と、自らタイムを設定した。
成長著しい26歳。800メートルリレーだけでなく、もちろん、個人種目での代表入りも視野に入れる。「200メートルで五輪を狙いたい」。高橋にとって運命の年が始まる。
(塩沢 武士)
◆高橋 航太郎(たかはし・こうたろう)1994年3月15日、清水市(現静岡市清水区)生まれ、26歳。幼稚園年長で競泳を始める。清水六中から静岡東高に進学。2年で200メートル個メ、3年で200&400個メで全国総体に出場。鹿屋体大卒業後、自衛隊に入隊。185センチ、74キロ。独身。