大学入試センター試験の後継として初めて導入される大学入学共通テストが16日から始まる。新型コロナウイルスの影響で、学問の神・菅原道真をまつる東京都文京区の湯島天神も例年とは違った様子を見せている。
昨年から今年にかけて、絵馬やお守りの郵送での申し込みが増加。正確な数は公表していないが、湯島天神の担当者は「例年に比べ、圧倒的に多い」と話し、多い日で例年の10倍に上ったという。「本来ならばお正月にお参りしてお札などを受けるつもりだった方が、なかなか来るのが難しくなった。参拝自体は屋外ですし、皆さん心配はしていないが、道中を心配される方が多い」と説明した。
合格祈願が書かれて戻って来た絵馬は神職の担当者が毎日、祈りを込めて絵馬掛所に結び、奉納している。担当者は「郵送でも、もちろん御利益は変わりませんよ」と話した。
また、昨年12月の参拝者の数は「例年の倍以上の感覚」だった一方、年が明けてからは「だいぶ落ち着いた印象」だという。参拝者が密を避け、分散を意識した結果だが、12月の混雑は学問の神ならではの理由がある。
湯島天神の担当者は「他の神社でも『初詣は分散してください。2月でもいいですよ』と呼びかけている。そこは我々も同じ。ですが、受験は日にちが決まってるので後ろには伸びないんです。なのでみなさん前倒しでの分散を考えたんだと思います」と分析した。
参拝時期について「今は落ち着いてるのでおすすめです」とし、受験生へは「去年はさまざまなことがあったので、勉強だけに集中できないような1年であったとは思いますが、力をすべて発揮されて、ご自身の望む道にお進みいただければ」とエールを送った。(瀬戸 花音)
■実際に訪れる受験生も
例年より少ないが、実際に参拝する受験生も。大学入学共通テストに挑むという男性(20)は「今年の受験はコロナで模試がなかった。そこは不安ですね」と話した。同じく大学入学共通テストと、一般試験に挑む女性は、ともに参拝した先輩のアドバイスで真ん中の目立つ場所に絵馬を結び「頑張ります」と笑顔を見せた。