【ヒルマニア】佐山和夫氏が野球殿堂入り…ゴールデンスピリット賞創設尽力 選手ではないからこそ深い野球への愛情

野球殿堂入りし、日本高等学校野球連盟の庭にある銅像の前で話す佐山和夫氏(代表撮影)
野球殿堂入りし、日本高等学校野球連盟の庭にある銅像の前で話す佐山和夫氏(代表撮影)

 野球殿堂入りが14日、東京・文京区の野球殿堂博物館で発表された。アマ球界などが対象の特別表彰では作家でゴールデンスピリット賞の創設に尽力した佐山和夫氏(84)と、アトランタ五輪日本代表監督で銀メダルを獲得した川島勝司氏(77)を選出。プレーヤー表彰、エキスパート表彰ではともに当選必要数に届いた候補者がおらず、両部門での選出なしは1998年以来23年ぶりとなった。佐山氏と親交のある「ヒルマニア」でおなじみの蛭間豊章記者が同氏の功績を解説し、祝福した。

 佐山さんが候補2年目で殿堂入りを果たした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で初めてリモートで行われた通知式。佐山さんは「私は選手でも何でもない。ですから知らせを聞いたときびっくりして、“ありがとうございます”の一言も言い忘れるほどでした」と振り返った。

 父親が戦前2度、中等学校野球大会で全国制覇を果たした和歌山中(現桐蔭)の教師で校内の官舎に住んでいた関係で小学生の時に野球部の球拾いを買って出て、ボールボーイに抜てきされた。姿勢が評価され、1946年に復活した大会に引率され、西宮球場で応援。慶大在学中は、立大・長嶋茂雄の当時の新記録8号本塁打も目の当たりにしたという。

 母校でもある田辺高の英語教師を9年間務め、英語塾講師をしていた1982年、“伝説の名投手サチェル・ペイジ氏死去”の新聞記事に目を奪われた。ニグロリーグ、42歳でメジャーデビュー、59歳で登板―。興味を引かれ、米国の関係筋10か所に手紙を書いた。そしてニグロリーグ博物館長のバック・オニール氏から「そんなに知りたいのならこちらへ来て下さい」と返事が届き、渡米。取材しまとめたものが84年度(第3回)潮ノンフィクション賞を受賞した「史上最高の投手はだれか」だった。

 その後も歴史的事実を取材し多数の本を出版。働きが高野連にも認められ顧問になると「ボール、ストライクのコールの国際化」、「センバツの21世紀枠」、「選手宣誓の立候補制」など、独自のアイデアを出していった。また、ニカラグア大地震の救援に向かって飛行機事故死したロベルト・クレメンテに関しても調査、執筆した経験から選手のグラウンド外での活動に注目し提唱。報知新聞主催の「ゴールデンスピリット賞」となって99年からスタート。第1回から現在も選考委員として重責を担っている。

  • 16年のゴールデンスピリット賞で記念撮影を行う(左から)佐山さん、長嶋終身名誉監督、内海

    16年のゴールデンスピリット賞で記念撮影を行う(左から)佐山さん、長嶋終身名誉監督、内海

 選手ではないからこそ野球への愛情は深く、59歳でメジャー登板したペイジにならって、同じ59歳でドジャースのファンが集う「ファンタジーキャンプ」に約1か月参加してプレー。愛車ビートルの後部座席にはいつもボールとグラブを置き、いつでもキャッチボールができるようにしている。佐山さん、本当におめでとうございました。(蛭間豊章=ベースボール・アナリスト)

 ◆佐山 和夫(さやま・かずお)1936年8月18日、和歌山県生まれ。84歳。慶大文学部英文学科卒業後、レコード会社勤務や高校教師、塾講師などを経て文筆活動へ。日本高等学校野球連盟顧問。阪神甲子園球場歴史館顧問。

 ◆ゴールデンスピリット賞 日本のプロ野球球団に所属する人の中から、積極的に社会貢献活動を続けている人を表彰する。欧米のスポーツ界では社会貢献活動が高く評価され、米大リーグの「ロベルト・クレメンテ賞」が有名。受賞者にはゴールデントロフィーと阿部雄二賞が贈られる。また受賞者が指定する団体、施設などに報知新聞社が200万円を寄贈する。

 ◆野球殿堂 日本野球の発展に大きく貢献した人たちの功績をたたえ、顕彰するために1959年に創設された。プロ球界で功績のあった競技者表彰(プレーヤー表彰、指導者も対象となるエキスパート表彰)と、審判員やアマを含め球界に貢献のあった人が対象となる特別表彰がある。競技者表彰は98人、特別表彰は今回で111人の計209人。殿堂入りした人は東京ドームにある野球殿堂博物館にレリーフが飾られる。

野球殿堂入りし、日本高等学校野球連盟の庭にある銅像の前で話す佐山和夫氏(代表撮影)
16年のゴールデンスピリット賞で記念撮影を行う(左から)佐山さん、長嶋終身名誉監督、内海
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蛭間 豊章
 (ひるま・とよあき)1954年3月8日、埼玉県生まれ。名門・大宮高野球部は1年で退部したが、野球への愛着が募り、73年報知新聞社入社。記録記者、MLB専門記者と野球一筋。野球知識検定3級。ウェブ報知内のブログ「ベースボール・インサイド」(https://weblog.hochi.co.jp/hiruma/)や野球コラムも執筆中。愛称は「ヒルマニア」。

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