日本高野連は13日、第93回センバツ高校野球大会(3月19~31日・甲子園)の運営委員会をリモートで開き、現時点では有観客で準備を進めることを決めた。3月12日に予定していた組み合わせ抽選会は2月23日に前倒しする。開会式では、全校で入場行進する形は取らない。スポーツ報知既報通り、昨秋の明治神宮大会の中止で空白となった神宮大会枠に代わり、21世紀枠を3から史上最多タイの4に増やす。出場32校を決めるセンバツ選考委員会は、29日にリモートで実施する。
11都府県に緊急事態宣言が発令された中で、現時点では有観客で準備を進めることが決まった。「今年こそは、という思いがある」と、日本高野連の小倉好正事務局長(62)。昨年は1942~46年の戦争による中断を除き、史上初となる中止の決断を開幕8日前に下した。それだけに、2年ぶりの開催に向けて並々ならぬ決意を示した。
ただし、コロナ禍がさらに悪化すれば、無観客に変更するシナリオもあり得る。主催する毎日新聞社の栗林創造・大阪野球事務局長(53)は、「お客さんを入れる前提で準備を進めて『入れない』と変換するのは不可能ではない。無観客を前提で準備を進めた場合、そこから観客を入れるとなった時に、すぐに対応できるのかは不安」と説明した。緊急事態宣言が解除されず、上限5000人の開催要件も変わらなければ、政府や自治体の指針に従って運営することになる。
新型コロナウイルス対策に経費がかかり、観客数制限で従来より入場者が減少する可能性があるため、今大会から入場料金を改定する。中央指定席は3900円、一、三塁指定席(一般)は3400円でともに1400円増。外野指定席は無料から700円(夏の甲子園の外野自由席は大人500円)に変更する。
長蛇の列を防ぐことや、感染者の追跡を容易にするため、全席指定で前売り販売だけ。アルプス席は学校関係者のみの販売とした。ブラスバンドの演奏などについては今後、検討する。学校関係者だけで数千人が来場するため、一般のファンにとってはプラチナチケットになりそうだ。
開幕1週間前の3月12日に予定していた組み合わせ抽選会は2月23日に前倒しし、リモート(各校主将が参加)か代理で抽選する。昨夏の甲子園交流試合は、開幕1か月前の抽選で好評だったこともあり、出場校の予定を立てやすいように工夫した。開会式は全出場校で入場行進をする形は取らず、甲子園練習も実施しない。各試合の間隔は10分増の40分に変更する。
また、昨秋の明治神宮大会の中止に伴い、神宮大会枠に代わって21世紀枠を史上最多タイの4枠にすることを決定。東日本(北信越、東海以東)と西日本(近畿以西)から各1校を選び、残り7校から2校を選出する。
選手らにPCR検査を義務づけるかなどは今後、議論する。小倉事務局長は「コロナに対する知見も経験も去年よりはある。何とか大会をできれば」と、高校野球に関わる全ての人の願いを代弁した。(伊井 亮一)
◆冬季の主な高校スポーツ大会のコロナ対応
▼サッカー 1回戦から準々決勝まで観客は入れず、出場校の部員や保護者、学校関係者に限り観戦を認めていた。政府の緊急事態宣言再発令検討を受け、5日に準決勝、決勝は無観客での開催に変更した。
▼バスケットボール 男子準々決勝以降は有観客で開催。出場チームには発熱者発生時に当該選手と濃厚接触者を除く出場が認められていた。大会前に集団感染となった男女の土浦日大など7校が棄権扱いに。
▼バレーボール 無観客で開催。会場入りは試合開始予定の約1時間前とし、入場は選手18人と監督を含む最低限のスタッフに制限。男子で前回王者の東山が3回戦前に発熱者が出て棄権し、その後当該選手ら数人のコロナ感染が判明。
▼ラグビー 無観客で開催。会場に入れるのは各チーム40人までに限定。会場のロッカーやシャワーは使えず、試合後35分以内の退去が求められた。
◆昨年夏の交流試合
▼観客 入場が認められたのは野球部員、教職員のほか、部員の保護者、家族は1部員につき5人以内。
▼ベンチ入り選手 20人(通常は18人)。
▼延長戦 9回で決着がつかない場合、10回からタイブレーク制が採用された(通常は13回から)。
▼甲子園の土 消毒作業をして次に試合を行うチームと完全入れ替えするため、時間の余裕がなく砂取りは禁止。
◆都市対抗野球(20年11月22日~12月3日)の場合
選手らチーム関係者全員にPCR検査を義務づけ、チーム関係者専用の移動動線を確保するなど、徹底した感染防止対策を実施した上で、入場者数を各試合1万人以内に限定。全席指定とし、座席を空けて使用したほか、1試合ごとに入れ替えを行った。