【高校サッカー】画面越しに6年ぶりの“再会” 帝京長岡・川上航立選手の飛躍に期待

市船橋戦で激しく体をぶつけ合う帝京長岡・川上航立(左)
市船橋戦で激しく体をぶつけ合う帝京長岡・川上航立(左)

 テレビ中継を見て、ハッとした。記者も現役時代に目指し、県予選の最後ではね返され続けた全国高校サッカー選手権。昨年度は開会式から現地取材したが、北海道代表の1回戦敗退とともに現場を離れた。今大会は、コロナ禍もあり支局で観戦。準決勝で目を奪われたのが帝京長岡・MF川上航立主将(こうたつ、3年)だった。プレーの素晴らしさが理由ではない。その表情、立ち居振る舞いに、6年前の彼がようやく一致したからだ。昨年気づいていれば取材の一つもできていたかもしれない。そう反省するとともに“親心”のような不思議な感情が芽生えていた。

 6年前、まだ駆け出しだった記者は静岡・愛鷹の競技場にいた。全日本少年サッカー大会決勝戦(14年8月、C大阪対柏、1―1・PK2―1)。そこで全国制覇のヒーローとして取材したのが川上少年だった。後半に点を取り合い、延長でも決着がつかず迎えたPK戦。監督に「一番緊張する最初で蹴りたい人?」と尋ねられ、真っ先に手を挙げたのがキャプテンマークを巻いた彼だった。「自分が一番最初に決めれば、みんなが楽になると思ったので」。小学生離れしたはきはきした答えと、強心臓ぶりが鮮烈だった。

 あれから6年。1―2の後半33分、PKを決める背番号14に当時の姿がフラッシュバックした。土壇場のしびれる場面で選んだのは普通のシュートではなく、ふわっと浮かせたチップキック―。劣勢をはね返そうという強烈なメッセージに、テレビ越しでも胸が震えた。埼玉スタジアムから遠く1000キロ以上離れた北海道支局で、直接話は聞けないが、大きくなった彼はきっと言うのだろう。「難しいシュートを決めることで、みんなを励ましたかった」と。残念ながらPK戦の末、2年連続で4強の壁には阻まれた。それでも、前回大会以上に示した輝きは、プロの目にも留まったはずだ。

 今後は大学進学を予定するという川上選手。同じ大学経由といえば、私が担当する今季のJ1北海道コンサドーレ札幌にもFW小柏剛(22)=明大=、GK中野小次郎(21)=法大=の頼もしい新戦力が加わる。小柏は先日のJ内定者合同会見でも「大学で多くを学んだおかげで強くなれた」と“遠回り”に胸を張った。昨季も特別指定で経験を積んだ2人のブレイクを願うと同時に、あるいは川上選手と3、4年後に担当クラブで本当の“再会”を果たせれば…。そんな記者冥利に思いもはせながら、4年間の飛躍を応援したい。(北海道支局・川上 大志)

 全国高校サッカー選手権はTVerと公式HPにて無料配信!詳しくはこちら

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

サッカー

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請