久保建英は5か月で価値を証明できるか…ヘタフェは一般的スペインサッカーと正反対

久保建英
久保建英

 スペイン1部ヘタフェは8日、Rマドリードから日本代表MF久保建英(19)を今季終了までの期限付きで獲得することを発表した。今季は強豪ビリャレアルに期限付き移籍しながらも定位置をつかめず、半年で退団が決まった。現地で取材する豊福晋通信員は、ボルダラス監督(56)率いるヘタフェの特徴や狙いを「見た」。

 ヘタフェにはハッキリとした色がある。ボール保持はできるだけ短く、時間をかけずに前線へ。守備はファウルまがいの激しいプレーの連続だ。一般的なスペイン・サッカーのイメージとは正反対のスタイル。これからシーズン残りの5か月間、久保はその中で自らの価値を証明しなければならない。

 チームを率いて5年目のボルダラス監督が主に採用するのは4―4―2。中盤には一貫してフィジカルが求められる。ボランチのアランバーリとマクシモビッチは運動量。左サイドのククレジャは縦への突破力があり、右には巨漢のアランニョムがいる。前線は体を張れる屈強な2トップが並ぶ。パスの連続から相手を攻略するシーンは、ほとんど見たことはない。

 数年前、ボルダラス監督と話をした。印象的だったのは自身が追求するサッカーを語る言葉だ。

 「理想は90年代のバルサのドリームチーム。クライフの美しいサッカーに影響を受けた。しかし、どのチームもバルサになれるわけではない。現実を見なければ」

 「現実」を見ながら1部に勝ち残ってきた。「リーガで最も人気のないクラブ」とやゆされ、予算規模も小さく、国際的なブランド力も皆無。ビッグクラブから有望な若手をレンタルするのは基本戦略のひとつで、今回の久保もそのケース。Rマドリードとヘタフェの関係は強固で、過去にもMFグラネロら多くの選手がこの地で経験を積んだ。

 久保が輝くための近道は、ビリャレアルでは機会が少なかったトップ下でのプレーか。久保の技術やセンスはヘタフェでは異色。ストライカーと組ませ、中央でボールを触る時間が増えれば持ち味は出しやすくなる。マジョルカ時代のように右サイドでの起用もあり得るが、守備面を指揮官がどう捉えるか。

 気になるのは、移籍が決まる前のボルダラス監督の言葉だ。「久保の獲得はクラブが進めている話」と多くを語らなかった。指揮官が望んだというより、トーレス会長を中心とする上層部主導の移籍、そんな匂いもする。ヘタフェは残留争いの真っただ中。鍵となる最初の数試合で、久保は何ができるのかを周囲に見せられるか。あくまでも現実を見るボルダラス監督に、久保の適応をゆっくり待つ時間はない。(豊福 晋)

 ◆今季の久保 昨季マジョルカで4得点4アシストと活躍し、今季は強豪ビリャレアルにステップアップ。開幕から出番は与えられたが、出場13試合のうち先発は2試合だけ。ポジションも得意な右サイドではなく、左サイドや前線の一角で起用されることが多く、無得点に終わった。欧州リーグでは5試合全てで先発し、1得点を挙げたものの、序列を覆すには至らなかった。次第に自身より若い18歳MFピノらが重宝されるようになり、エメリ監督の構想を外れた。

 ◆ヘタフェ マドリード州ヘタフェ市に本拠地を置くクラブ。前身は1946年に発足し、現体制は83年に設立。2004―05年シーズンに初めて1部昇格。タイトルはないが、18―19年シーズンにはクラブ最高の5位でフィニッシュした。昨季は8位。ホーム競技場はコリセウム・アルフォンソ・ペレス(約1万7000人収容)。チームカラーは青。

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