東京中央卸売市場・豊洲市場で5日、新春恒例の「初競り」が行われた。同市場ではこれまで173人の新型コロナウイルス感染が確認されており、感染対策が徹底されての幕開けとなった。
今年も“マグロ大王”の異名を取り、「すしざんまい」などを運営する「喜代村」の木村清社長(68)が競り場に姿を見せたものの、青森県大間産の一番マグロは、同社のライバルでもある仲卸「やま幸(ゆき)」が2084万円(208キロ)で落札した。
喜代村は、2019年に史上最高額の3億3360万円(278キロ)、20年は史上2番目の1億9320万円(276キロ)など過去9度、最高値でマグロを落札。例年、競り後に独特のダミ声で喜びをシャウトしてきた木村社長だが、今年は「外食は自粛モードなので、あんまり派手にやるというのはいかがなものかということでね」と“超ご祝儀価格”での落札を自粛したと明かした。
昨年の初競り後は、縁起物の一番マグロを求め、「すしざんまい築地本店」には約200人が3時間待ちの列を作った。同社広報担当は、店の3密回避のため高額落札や、マグロ解体ショーを自粛することにしたと説明。一方で「多くのお客さんにマグロを召し上がってもらいたい気持ちも山々だった。でも日本全体がそういう空気ではないので」と歯がゆさをにじませた。
この日、一番マグロを期待して築地本店を訪れたという都内在住の50代男性は「残念だけど、今年は自粛しましょうというメッセージかな。来年こそは縁起物にありつければ」と話していた。
(奥津 友希乃)