J1北海道コンサドーレ札幌の年男、MF高嶺朋樹(23)=札幌市出身=、金子拓郎(23)、DF田中駿汰(23)がスポーツ報知の新春インタビューに応じた。大卒2年目トリオは、ルーキーイヤーの昨季、それぞれに存在感を発揮。うし年で迎える2021年シーズンへ、開催予定の東京五輪や海外挑戦への思い、ピッチ外の関係性など、和気あいあいと語った。(取材・構成=川上 大志)
―高嶺選手は道産子ですが、金子、田中選手は初の北海道生活。慣れました?
田中(以下、田)「めちゃ寒いっす…!」
金子(以下、金)「寒冷地仕様の部屋暖房(セントラルヒーティング)なんて見たことないからビックリ」
田「分かる! 学校の教室みたいな、ね」
金「朋樹が教えてくれないから驚きばかり」
高嶺(以下、高)「いい大人だしそんなに教えることないでしょ~」
―寮生活含めて仲良し?
金「コロナ禍の自粛中は一緒にゲームとか」
高「マリカー(マリオカート)ね」
田「朋樹が弱くて」
金「駿汰はコソコソ練習するタイプだから」
高「サッカーはセンスだけなのに!」
―きょうだい愛も話題の人気アニメ「鬼滅の刃」コスプレですね。3人の関係性やキャラクターは?
田「精神的に俺が兄で4つ下に2人の感じ」
金「絶対ウソ、俺が長男」
高「間違いない。駿汰はマイペースで、僕らが歩み寄っても寄せ付けないし」
田「…。拓郎はトークも切れ味がすごい。ピッチのドリブルと似てる」
高「うまいこと言ったと思ってるでしょ?」
田「一応関西人だから! 吉本新喜劇見て育ったし。(芸人で座長の)小藪千豊さんに似てるって? 最近髪を染めて俺に寄せてるのかも」
高「逆だわ!」
金「朋樹はこんな感じで普段からうるさいけど、かわいくて、あざとい」
高「雑だなあ~」
田「ギャップ萌え。妹キャラってことで」
―温まった所で、ルーキーイヤーを振り返って
金「過密日程で出場を増やしていけたのは収穫。ただ、自分の働き、チームの12位フィニッシュには満足できない」
高「ミシャさん(ペトロヴィッチ監督)のサッカー、Jに慣れて波がなくなったのは成長だった」
田「CB、右ストッパー、ボランチと色々経験したけど、どの位置でも無失点はこだわらないと」
―21年は24歳の年男。前回は小6になる年だった。
高「プロという明確な目標はなかったかも。札幌の下部組織にいてサッカーを楽しくやれたらって」
金「自分はプロの夢をすでに持っていた」
田「G大阪ジュニアユースに合格。今思えばターニングポイントだったかも」
―それから12年。東京五輪も予定され、3人は昨年末の代表候補合宿にも選出。
金「自分世代がちょうど五輪。思いは強い」
高「意識はある。5、10年後を見据えて頑張る中でついてくれば」
田「A代表定着の目標に向けて経験したい」
―みんなで五輪?
金、高、田「それが最高だし、頑張りたいね」
―世界といえば、昨季はFW鈴木武蔵(27)がベルギー1部ベールスホットへ移籍。
高「札幌で結果を出せば道があるんだと」
金「同じシャドーで助言も受けた。大きな刺激になった」
田「海外でやってみたいし、武蔵くんの移籍で現実味が出てきた」
―五輪、海外挑戦など夢は膨らむ。次のうし年は36歳
金「現役が理想」
田「J1にいたい。もちろん札幌が一番!」
高「札幌で現役なら、すごく幸せだな」
―その頃も仲良し?
金「結婚して家庭を持ったら…」
高「だね。特に駿汰は」
田「え~。仲良くしよ」
高「みんなで赤黒だ」
―最後に今季の抱負を
田「代表も見据えてやる。(リーグ戦)下位は気分が悪かった。21年は優勝争いを」
金「今年以上の数字を出して、リーグとルヴァン杯を勝ち取りたい」
高「絶対的な存在に。札幌がJ1優勝なんて下部組織時代は想像できなかった。今は違うし、新たな歴史を作りたい」
◆高嶺 朋樹(たかみね・ともき)1997年12月29日、札幌市生まれ。札幌U―12、同15、同18を経て、16年に筑波大へ進学。19年3月、J1札幌入り内定。同年は特別指定選手としてルヴァン杯2試合に途中出場。7月にイタリアで行われたユニバーシアード大会では、日本代表として7度目の優勝に貢献した。J1通算30試合出場無得点。177センチ、74キロ。左利き。
◆金子 拓郎(かねこ・たくろう)1997年7月30日、埼玉県生まれ。小1から競技を始め、小川サッカースポーツ少年団、クマガヤSC、前橋育英高を経て日大に進学。高校時代はベンチ入りした2年時の全国選手権で準V、3年時は8強。幼稚園から小6までは器械体操も経験。昨年12月にU―23日本代表候補に初選出。J1通算37試合出場4得点(19年6試合出場無得点)。178センチ、68キロ。左利き。
◆田中 駿汰(たなか・しゅんた)1997年5月26日、大阪府生まれ。G大阪ジュニアユースから履正社高を経て大体大進学。19年5月、J1札幌入り内定。同年7月に特別指定選手で登録。同年12月14日の香港戦で日本代表デビュー。代表は1試合出場無得点。20年1月には東京五輪を見据えたU―23日本代表に選出され、U―23アジア選手権で2試合出場。J1通算31試合出場2得点。183センチ、68キロ。右利き。
■取材後記 3人の勢いと機転にアシストされた取材だった。記者は昨季途中から担当になったばかり。コロナ禍は接触を避けた取材が主で、直接の対話も今回の取材がほぼ最初だった。初対面でもフランクで、さすが若者らしく旬にも敏感。撮影時の着こなしも「このキャラはこうだった」など、こちらがアドバイスをもらうほどだった。
印象的だったのが撮影後。3人は使用した剣を「〇〇先輩の子が好きだったはず。これあげてもいいですか?」。1年目からチームになじみ、欠かせぬ存在となった裏には、プレーはもちろん、ピッチ外でもアンテナを張る力、人を思いやる優しさが大きいのだと実感させられた。
今季は大卒の後輩FW小柏剛(22)=明大=、GK中野小次郎(21)=法大=も入ってくる。“生きる教科書”MF小野伸二(41)も加わる。新たな刺激をもらえる環境で、さらに成長していく姿に期待したい。(J1札幌担当・川上 大志)
◆鬼滅の刃「柱」と「呼吸」 主人公の竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が入隊した鬼狩りの組織「鬼殺隊」は能力別に10階級あり、最高位の剣士を「柱」と呼ぶ。隊士は「全集中の呼吸」と呼ばれる特殊な呼吸法を身につけることで、鬼と渡り合える身体能力が引き出せる。流派は水、炎、風など多数存在し、極めた属性を冠して「―の呼吸」とされる。