【箱根駅伝】意地の復路V青学大・神林勇太主将「原監督に止まってもいいから10区を任せると言ってもらいましたが、それはできませんでした」

青学大・神林勇太
青学大・神林勇太

◇第97回東京箱根間往復大学駅伝競走復路 (3日、神奈川・箱根町芦ノ湖スタート~東京・千代田区大手町読売新聞社前ゴール=5区間109・6キロ)

 前回覇者の青学大は往路で12位で大きく出遅れたが、復路で意地の優勝を果たし、総合4位まで巻き返した。

 昨年12月28日に右仙骨の疲労骨折が判明し、欠場した主将の神林勇太(4年)は大手町のゴールでアンカー中倉啓敦(2年)を出迎えた。「今季は神林がチームの中心として頑張ってくれた」と原晋監督(53)は絶対の信頼を寄せる神林に対し「スタートラインに立たせることができなくて申し訳なかった」と言葉を詰まらせながら話した。

 実は、青学大はぎりぎりまで神林の起用を模索していた。神林が昨年末の出来事を明かす。

 「原監督に『もし途中で止まってもいいから、アンカーを任せたい。神林がブレーキしてもみんな納得する』と言ってもらいました。そこまで信頼されてうれしかったけど、優勝を狙うチームとして、僕より走れる選手はいます。中倉もそうだし、出番がなかった新号健志(4年)もそうです。最終的に(昨年12月30日)、『僕は走れません』と答えました」

 実力があり、人間性も優れた神林主将はチームの誰もが認める大黒柱だった。原監督は「先行きが見えない中、主将の神林とエースの吉田(圭太、4年)が2トップとしてチームを引っ張った。立派だった」と振り返る。神林自身、苦難のシーズンを静かに振り返る。「出雲駅伝(昨年10月)の中止が決まった日(昨年7月27日)が精神的に一番きつかった。『全日本大学駅伝も箱根駅伝も中止かも…。苦しい練習をしている意味があるのかな』と考えてしまった。でも、来年、再来年がある後輩の前で気が抜けた態度を取るわけにはかなかった。気持ちを奮い立たせて4年間で一番、中身の濃い夏合宿を過ごせました」

 変則的に今季の開幕戦となった全日本で、神林はエース区間の7区で区間賞を獲得し、首位に立った。最終8区で盟友の吉田が駒大、東海大、明大に抜かれ、4位に終わったが、存在感と意地は示した。いとこの乃木坂46の佐藤楓(22)から「すごいね」というLINEが届いたという。「1学年違いで小さい頃から仲が良かった。応援してもらえることはうれしいですよ」と温厚な笑顔で話していた。

 神林は、学生トップレベルの実力を持つが、大学卒業を区切りに競技の第一線から退き、箱根駅伝と縁が深いサッポロビールに入社が内定。競技人生の最終レースに向けて、調整を進めていたが、昨年12月に状況が暗転した。最後の箱根路を走ることはできなかったが、爽やかな笑顔で、大手町のゴールでアンカーの中倉を出迎えた。

 原監督は神林主将を最大限に評価。「1年、チームをまとめてくれた。ありがとう。卒業後はカリスマ営業マンになってほしい」と感謝と、はなむけの言葉を贈った。

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