今が旬のKENTAと50歳・小島聡の激闘を見逃すな!…内藤VS飯伏の2冠戦だけではない1・4東京D大会の魅力

昨年12月23日の東京D大会出場選手会見で、やっと実現したIWGP USヘビー挑戦権利証争奪戦について本音を明かしたKENTA
昨年12月23日の東京D大会出場選手会見で、やっと実現したIWGP USヘビー挑戦権利証争奪戦について本音を明かしたKENTA
昨年12月23日の東京・後楽園ホール大会で小島聡(左)に強烈なキックをたたき込んだKENTA(新日本プロレス提供)
昨年12月23日の東京・後楽園ホール大会で小島聡(左)に強烈なキックをたたき込んだKENTA(新日本プロレス提供)

 今年もプロレスファンが待ちに待った、この瞬間がやってくる―。

 4日午後5時開始の日本格闘技界最大のお祭り、新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM 15 in 東京ドーム」大会。今年は新型コロナウイルスの感染再拡大の中、異例の開催形式が取られる。

 4万8人を動員した昨年の1・4のような大量集客は最初から求めず、観客数を極力絞った形で検温、消毒を徹底。客席の間を開ける措置を取り、声援も禁止。昨年8月に行われた神宮球場大会同様、拍手で熱い応援を表現する形となる。

 一時は開催自体も危ぶまれた中、新日は自信のカードをズラリと並べた。メインイベントはIWGPヘビーとインターコンチネンタルの2冠王・内藤哲也(38)に「ゴールデン☆スター」飯伏幸太(38)が挑む頂上決戦。完全復活を期す「レインメーカー」オカダ・カズチカ(33)に元弟分で「ジ・エンパイア」の総帥へと変貌を遂げたウィル・オスプレイ(27)が挑むスペシャル・シングルマッチも組まれた。

 だが、私がどの試合よりも楽しみにしているのが、第3試合に組まれたIWGP USヘビー級挑戦権利証争奪戦、米WWE帰りのKENTA(39)と大ベテラン・小島聡(50)との一戦だ。

 コロナ禍で多くの大会が中止となった昨年。業界最大手の新日も、やっと無観客で大会を再開できたのは6月だった。そんな苦境の1年の間、リング外でファンの心を鷲づかみにしたのが、KENTAだった。

 最初は日本最大のヒール(悪役)の立場からスタートした。昨年1月5日の東京ドーム大会のメインイベントで内藤がオカダを破り、史上初の2冠を獲得した直後にリングに乱入。内藤をKOし、試合後の「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン!」の大合唱など、すべてを台無しに。「史上最悪のバッドエンド」を演出し、「なんてことをしてくれたんだ!」「最低のレスラーだ」とファンのブーイングを一身に浴びたのが、この男だった。

 だが、もともとセンスあふれるつぶやきで一部で人気を呼んでいたツイッターでの発言が、コロナ禍の中、徐々に注目を集める。

 自身はコロナによる入国制限で自宅のある米フロリダ州オーランドからの来日がままならない中、日本の感染症対策の甘さを指摘。外出自粛要請の中、出歩く若者を「バカか! さっさと家に帰るんだ」と一喝する一方で「自覚ある行動を! 生きてこそだぞ」と熱い言葉を投げかけ続けた。

 この言動に、ファンから「言動がヒールじゃない。ヒーローだよ」のなどの絶賛の声が集まり、一躍、カリスマ的存在に。私自身もさっそく国際電話でインタビュー。その際の「日本でも俺のことを知らない人の方が多いからね。別に届く人に届けばいいと思ってやっているだけ」、「あるのは、早い段階で、なんとか手遅れにならないうちにみんなが気づいて、(感染を)食い止めて欲しいなという思いだけ」など、淡々と話す知的かつ芯の部分の熱い人柄に大いに惹かれた。

 もちろん、イタミヒデオのリングネームでWWEで活躍した男は、本業でも結果を出し続けた。

 8月に米国で行われた「NJC USA」で優勝。現王者・ジョン・モクスリー(35)が保持するIWGP USヘビー級への挑戦権利を得た。その後、棚橋弘至(44)、ジェフ・コブ(38)ら4人の挑戦を退けたが、モクスリーのAEWとの契約問題などもあり、4か月にわたって挑戦は実現せす。ツイッターで「モクスリー…。もういい加減挑戦させてくれ。もしくはベルトくれ」と嘆く日々を過ごしてきた。

 そして、やっと東京ドームの大舞台での挑戦権利証争奪戦が実現したものの、もう一波乱が待っていた。

 昨年12月23日、東京・赤坂の明治記念館で行われた出場22選手の会見。ジュース・ロビンソン(31)との一戦が1・4に組まれたKENTAは挑戦権利証の入った真っ赤なブリーフケースを持って登場した。

 ところが、当のジュースがリング上のアクシデントで負った眼窩底骨折のため欠席。「散々言って、やっと、やることになって。だけど、モクスリーもジュースもいない。なんのプレーですか? 俺はなんで一人でいるの? ジュースはなんで来ないの? どれだけヤワなの? なんで、俺一人なの? 何、このプレー。言うこともないよ。おしまい、何もないよ」と絶叫して、一方的に会見を打ち切った姿に、私も苦笑するしかなかった。

 結局、ジュースに代わって、その夜の東京・後楽園ホール大会で挑戦表明してきた大ベテラン・小島との一戦が決まったが、ここからの展開が絶妙だった。

 まず、KENTAがツイッターで「ドームで大島に勝って権利証守る」と「アンジャッシュ」児嶋一哉(48)のギャグをマネて、小島を「大島」呼ばわりした、つぶやきを発射。

 これに対し、小島が「小島だよ! スッキリシタ…」とツイート返し。さらに、KENTAは「レスラー生活20周年KENTA VS レスラー生活40周年の木島さん 尊敬の念を持って臨みます」と再度、尊敬の念はどこへやらの小島を「木島」呼ばわりしたツイートを書き込んだ。

 これに対し、小島も再び「KENTAのツイートを見てしまった。これは、どういう謎かけなんだろう。言った方がいいのか、言わない方がいいのか。あのセリフを…。悩む。2度目だけど」と、まず、つづると、「小島だよ! 30周年だよ! 40周年だと還暦だよ! スッキリシタ…」と、律儀に訂正した。

 さらに小島が今度はブログで「KENTA選手とは、今から八年くらい前か? ちょっと定かではないけど、私がNOAHのリングに参戦するようになったあたりで初対面の挨拶をした気がする。その頃からKENTA選手は、NOAHになくてはならない存在だったし、とにかく格好良さでは丸藤選手と並んで群を抜いていた」とつづり、「どちらかというと寡黙な印象で、決して愛想が悪い訳ではなかったけど、ヘラヘラしていた訳でもなく、一本筋が通った感じのクールな男だった」と書き込んだ。

 その上で「プロレスのキャリアでは9年、年齢も10歳KENTA選手と離れているので、その辺でも「親しい』感じにはなれなくて、…よそよそしかったかな。でも、プロレスラーとしての生き方は芯が通っていて、ダークヒーロー的な渋さが当時からあった」とし、「そして、KENTA選手はWWEへと移籍する。その期間、日本から見ていたKENTA選手の印象は…。『とにかく怪我に泣かされた生活』こればかりは誰かのせいでもないし、誰かのせいにしてもいけない。とてもデリケートな部分だと思う。そして、KENTA選手は日本へと主戦場を移した。しかも新日本へ。その後の活躍は、ご覧の通り。ただ、KENTA選手が新日本へ参戦してから、私とはほぼ接点がなかった。昨年末のタッグリーグ戦くらいかな。それ以外の私は、どちらかといえば若手選手の壁的な役割が多くなってきていたから…かもしれない。KENTA選手はずっとトップグループを走っていたから、正直いえば、KENTA選手の方が格上だった。そして、そのまま時間が過ぎていく」と長文でつづった。

 この小島の文章に当のKENTAは、ただ一言、「KENTAだよ!!」とだけ返した。

 どうだろう。レスラーとしての絶頂も、絶望も、たっぷりと味わってきた2人の酸いも甘いも知り尽くしたやり取りを体感して欲しくて、長々と書いてみた。

 今年もまだまだ続くだろうコロナとの闘いの中、リング上で、そして、リング外で様々にファンを励まし、希望を与え続けるレスラーたち。その命がけの闘いを見届けるために、私は今年も東京ドームに行く。(記者コラム・中村 健吾)

昨年12月23日の東京D大会出場選手会見で、やっと実現したIWGP USヘビー挑戦権利証争奪戦について本音を明かしたKENTA
昨年12月23日の東京・後楽園ホール大会で小島聡(左)に強烈なキックをたたき込んだKENTA(新日本プロレス提供)
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