【2019年1月1日】内田裕也さんのラストステージで驚いたもう一つのロックンロールな出来事

スポーツ報知
2018年の「ニューイヤーワールドロックフェスティバル」で歌う内田裕也さん

 2019年3月17日に肺炎のため他界したロックミュージシャンの内田裕也さん(享年79)。ラストステージはその3か月半前、自身が主催する恒例の年越しライブ「ニューイヤーワールドロックフェスティバル」(東京・銀座博品館劇場)だった。

 内田さんは年明けの0時20分過ぎ、右手にマイク、左手にステッキを持ち車いすに乗って登場した。最初は歌声にも元気がなく、体調は明らかに万全とは言えなかったが、超満員の観客からの「裕也コール」に、自然とテンションが上がっていくのを感じた。

 「最近にないほど観客が入ってうれしい」と喜び、当初は2曲で終了するはずが、「ジョニー・B・グッド」「きめてやる今夜」を追加し、計4曲を歌った。さらに、曲の途中でスタッフに支えられながら1分近くかけて立ち上がり、ステッキを掲げて声援に応える姿に驚いた。残念ながら最後の雄姿になってしまったが、観客に応えるロックンロールな心意気は今も記憶に新しい。

 ライブでは内田さんのステージ以外にも、目を丸くする出来事があった。内田さんを慕うアーティストが次々と登場したのだ。年越し前の午後11時50分ごろからは「シーナ&ザ・ロケッツ」がステージに立っていた。演奏が続く中、私の興味は「カウントダウンはどうするの?」。なぜなら0時1分前になっても普通に演奏していたからだ。「年越しライブでカウントダウンをしない…なんてことがあるの?」。結局そのまま零時を過ぎ、観客も何事もないように声援を送っていた。

 「内田さんの体調に配慮して、あえて派手なカウントダウンはしないのかな…」。あれこれ理由を推察していた零時5分過ぎ。演奏を終えた「シーナ―」の鮎川誠(72)が「行くぞ~、10!、9!」と叫び始めた。観客も「8!、7!」と呼応する。「あれ? あれ? もう過ぎてるよね?」。困惑する私をよそに、会場は「2!、1!…ハッピーニューイヤー!」と盛り上がった。

 思いもよらぬ5分遅れのカウントダウン。正直、直後は「デタラメだなぁ」と苦笑したのだが、すぐに考え直した。小さな事は気にするな、それが「ロックンロール」ってことなのかも―。確かに、演奏で盛り上がっているステージを中断してカウントダウンするのは「ロックンロール」ではない気がする。一体感あふれる会場の雰囲気を目の当たりにし、ステージよりも時計の針ばかり気にしていた自分が恥ずかしくなった。

 ライブは内田さんが亡くなった19年から20年にかけても、内田さん追悼の意味を込め開催された。昨年末から今年にかけてはコロナ禍を受けて、オンラインで開催された。今後も続いて、内田さんの魂を継承し続けて欲しい。(土屋 孝裕)

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