◆第66回東京大賞典・交流G1(12月29日、大井競馬場・ダート2000メートル=良)
第66回東京大賞典・G1は29日、大井競馬場のダート2000メートルで16頭(JRA7、南関東9)によって争われた。圧倒的な1番人気に支持されたミルコ・デムーロ騎手(41)=栗東・フリー=騎乗のオメガパフュームが、ゴール前でカジノフォンテンとの競り合いを首差で制して史上初の同レース3連覇を達成。G1・4勝目を飾った。
苦しい戦いをしのぎ、新たな歴史を刻んだ。最後の直線。オメガパフュームは馬場の真ん中を力強く走り、大記録へまっしぐらに突き進む。内で地方の伏兵カジノフォンテンがしぶとく粘るが、ラスト1ハロンからグイッと伸びて力ずくでかわすと、偉業が待っていた。レース史上初の3連覇だ。
「3連覇はとても難しい。とても、うれしい。今月0勝で、心配で苦しんだけど、最後はG1を勝ててうれしい」と、Mデムーロは喜びと安どが入り交じった表情を浮かべた。今年はJRA所属となった15年以降ワーストの65勝。今月は1勝も挙げていなかった。自身にとっても苦しんだ末に訪れた歓喜の瞬間だった。
単勝1・3倍。「負けられないプレッシャーがありました。早めに先頭に立つと物見をするし、展開も難しかった」とミルコ。前半の1000メートルが64秒9のスローペースを5番手で追走。最後は思わぬ抵抗にあったが「いつもより手応えが良かった。最後の200メートルで差し切れそうだったので、気持ちが良かった」と声を弾ませた。一方、安田翔調教師は「3回続けて出走することも簡単ではない。そのなか、結果も伴ってくれて…」と感極まった様子だ。
過去2年はJBCクラシックのあとにチャンピオンズCを挟んで臨んだが、今年は中京のG1をスキップして直行。「レースが上手になって消耗が大きい。相性のいいレースを使いたかったので」とトレーナーは説明。その効果で上々のコンディションで大一番に臨み、偉業につなげた。
今後は川崎記念(1月27日、川崎)を視野に入れるが、「さらにこの馬にキャリアを伴わせてあげなくてはいけないと考えています」と安田翔師。まずは5つめのG1タイトル。その先には当然、東京大賞典4連覇という前人未到の記録も視界に入ってくるはずだ。(春木 宏夫)
◆オメガパフューム 父スウェプトオーヴァーボード、母オメガフレグランス(父ゴールドアリュール)。栗東・安田翔伍厩舎所属の牡5歳。北海道千歳市・社台ファームの生産。通算19戦9勝(うち地方8戦4勝)。重賞6勝目。主な勝ち鞍は東京大賞典・G1(18、19年)、シリウスS・G3(18年)、帝王賞・交流G1(19年)平安S・G3(20年)。総収得賞金は5億5491万4000円(うち地方3億9275万円)。馬主は原礼子氏。