【オリックス】田嶋大樹の思いに触れた新人記者の初取材…選手も記者も「積み重ね」

9月16日の楽天戦でプロ初完投初完封勝利を挙げたオリックス・田嶋大樹(ほっともっとフィールド神戸)
9月16日の楽天戦でプロ初完投初完封勝利を挙げたオリックス・田嶋大樹(ほっともっとフィールド神戸)

 ほっともっと神戸で行われた9月16日のオリックス―楽天戦。私は記者として現地でその試合を見届けた。ブルーウェーブのユニホームに袖を通したオリックスの田嶋大樹投手(24)が、プロ初完投初完封勝利。楽天のエース・涌井と投げ合う姿はとても大きく見えた。淡々と、そして時折見せる柔らかな表情。「うれしい。これだけです」。あまり多くを話さない謙虚な左腕に「話を聞いてみたい」と思った瞬間だった。

 小学生の頃から大好きだったプロ野球。入社して半年の私は、仕事としてその場を訪れるのはまだ2度目だった。担当の先輩記者に仕事を教わりながら、試合を見てスコアブックを付ける。ワクワク感と緊張が入り交じるなか、二塁すら踏ませない圧巻の投球を目にした。ヒーローインタビューでは「(完投して)疲れはあります」と素直な回答。ここでも淡々としている様子に思わず「ファン心」がくすぐられた。「取材してみたい」と改めて感じていたが、新型コロナウイルスの影響で取材活動は制限されている。担当記者の方でさえ、選手と関わる機会が激減していた。選手に取材ができる日はいつになるのか…。それから2か月が経過し、シーズン終了後にようやく機会が巡ってきた。

 プロ野球選手へ初の直接取材、しかも1対1。隠しきれない緊張感とともに声を掛けると、とても丁寧に、そして熱い思いを持って話してくれた。「一戦一戦最少失点で抑えて、その積み重ねがタイトルやチーム優勝につながればと考えて今年はやった。それでいい結果が出た」。今季はチームで唯一先発ローテーションを守り抜き、20試合に登板。自身初の規定投球回(122回1/3)に到達し4勝6敗、防御率は4・05をマークした。プロ入り3年目で初めてシーズンを完走できたことが大きな自信となっていた。「けがを1年間しなかった。昨年よりも断然長いイニングを投げられた。投げる体力、精神面でタフさが出てきた」と確かな手応えとともに、口調が少し熱くなっているのを感じた。マウンド上とはまた違った一面を見ることができ、少しうれしくなった。

 12月に行われた契約更改交渉では、2度目の交渉で2400万円増の4200万円(金額は推定)でサインした。1度目の交渉時は「1年(ローテーションを)回れたのは価値のあることだと思う」と取材時にも話していたことを主張。サインした2度目の交渉では、はっきりと年俸額を口にし「1回目を加味してしっかり上げてもらった」。シーズン中とは違い、髪を明るく染めた左腕の表情も明るく見えた。

 来季について問うと「今年の継続。また同じ質問が来たときに今年の継続、とまた言えるように。積み重ねです」とあえて具体的な数値や目標を設定しないスタイルを貫く。「ランナーが出た状態でどれだけ僕を安心して見てもらえるか、そこが重要。ランナーが出たから『田嶋危ないな』と思われるようじゃ、まだまだ甘い。ランナーが出ても『田嶋なら大丈夫』と思ってもらえるような投手になれれば」。

 「初めて」に出会うことが多かった1年。まだまだ未熟な新人記者にとって、あこがれのプロ野球選手に取材することができたのは大きな一歩だった。田嶋投手の「積み重ね」の精神とともに、2020年を決して忘れず2021年もたくさんの経験を積み重ねたい。(記者コラム・菅原 美沙)

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