紀平梨花、初4回転で連覇「今回跳ばないと、次に進めない」

女子フリーの演技を終え、ガッツポーズする紀平梨花(カメラ・矢口 亨)
女子フリーの演技を終え、ガッツポーズする紀平梨花(カメラ・矢口 亨)

◆フィギュアスケート 全日本選手権 最終日(27日、長野・ビッグハット)

 女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)首位の紀平梨花(18)=トヨタ自動車=が4回転サルコーを初めて成功させた。日本女子では安藤美姫以来2人目。国際スケート連盟非公認ながら、154・90点、合計234・24点と、ともに自己ベストを上回り、2連覇を達成した。ライバルのロシア勢は数種類の4回転ジャンプを駆使する。目標とする22年北京五輪金メダルへ大きな武器を手に入れた。

 緊張感高まる最終滑走で、紀平は自らを追い込んだ。「今回跳ばないと、次に進めない」。強い決意で挑んだフリー冒頭、美しいピアノの旋律に乗り、流れるように4回転サルコーを決めた。GOE(出来栄え点)は驚異の3・19点を引き出す、完璧なジャンプ。演技後、にこっと笑って控えめに両手でガッツポーズした。「北京五輪に向かって、4回転を決めたい思いがすごい強かった。一歩進めた」と、ほほえんだ。

  • 女子フリーの演技を終えて浜田美栄コーチと抱き合う紀平梨花(カメラ・矢口 亨)
  • 女子フリーの演技を終えて浜田美栄コーチと抱き合う紀平梨花(カメラ・矢口 亨)

 試合で4回転サルコーに初挑戦した19年GPファイナルは転倒した。1位コストルナヤ、2位シェルバコワ、3位トルソワのロシア勢が独占し、表彰台まで16・71点の大差をつけられた。ロシア3人娘への雪辱を期した今季はコロナ禍で、出場予定だったGPフランス杯(11月)が中止に。試合がない中「モチベーションの維持が難しかった」というが、4回転サルコーへの気持ちは消えなかった。「意識するのはロシアの選手。もっともっと難易度の高い4回転を跳んでいる」。頭の中には常にライバルの姿があった。

 今季からスイスを練習拠点とし、2005、06年世界選手権覇者のステファン・ランビエル氏に指導を受け、脚力の強化に着手。1日1時間以上のメニューを週に4日こなし「毎日筋肉痛」と悲鳴を上げながらも、確実にジャンプは進化した。空き時間には男子で五輪連覇の羽生結弦の「世界一美しい」と評価される4回転サルコーをひたすらビデオでチェック。成功のイメージを描き続け、美しいジャンプを追い求めてきた。

 紀平にとって20年最初で最後となった大会で、連覇と日本女子2人目の4回転ジャンプ成功という偉業を成し遂げた。「満足している。決めたいと思っていた4回転サルコーがきれいに決まって、すっごいうれしい」と喜んだが、すぐに気を引き締めた。かつて「優勝を目指したい」と話した北京五輪に向けて「まだ課題があって、10点くらいもっと高い点数を出せる」と成長を決意。鉄壁として立ちはだかっていた打倒ロシア勢へ、紀平が大きな武器を手に入れた。(小林 玲花)

 ◆4回転ジャンプ 6種類あり、一番基礎点の低いものから、トウループ(9.50点)、サルコー(9.70点)、ループ(10.5点)、フリップ(11.0点)、ルッツ(11.50点)、アクセル(12.50点)。ISU公認大会では、02年のジュニアGPファイナルで4回転サルコーを決めた安藤美姫が女子初の成功者。18年頃からジュニアで複数の4回転を操る選手が現れ、ロシアのトルソワは13歳でトウループとサルコーを成功。18年にはルッツも決めた。シェルバコワも4回転ルッツを跳ぶ。リュウ(米国)は14歳で女子初のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)と4回転ルッツを同時成功した。19年には当時19歳のエリザベト・トゥルシンバエワ(カザフスタン)が世界選手権史上初となる4回転サルコーを決めた。

女子フリーの演技を終え、ガッツポーズする紀平梨花(カメラ・矢口 亨)
女子フリーの演技を終えて浜田美栄コーチと抱き合う紀平梨花(カメラ・矢口 亨)
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