【箱根への道】日体大・野上翔大、前回繰り上げスタートの屈辱から「悔しさ晴らして卒業したい」

シード権奪取を目指す日体大の選手
シード権奪取を目指す日体大の選手
のぼりに目標を記す日体大の野上
のぼりに目標を記す日体大の野上

 第97回箱根駅伝(来年1月2、3日)に73年連続73回目の出場となる日体大は、前回17位から巻き返し、3年ぶりのシード権獲得を目指している。前回9区で、21秒足りずに繰り上げスタートの屈辱を味わった野上翔大(4年)は1万メートルで28分台(28分59秒43)を記録するなど大きく成長。集大成の箱根路へ「チームのシード権獲得に貢献し、悔しさを晴らして卒業したい」とリベンジに燃えている。

 最後の21秒は覚えていない。前回復路の鶴見中継所。最後の直線に入った野上は、10区の中川翔太(当時4年)に向かって必死に足を進めた。残り100メートルあまり。繰り上げスタートを告げる無情のピストル音が響いた。「その瞬間、頭が真っ白になった。次に記憶があるのは、倒れて泣いていたところです」。レースから数日後に一度映像を見たが、すぐに消した。「終わって2週間くらいは走る気が起きなかった」という。

 それでも周囲の励ましもあり、気持ちに変化が芽生えた。「あれより悔しい経験はない。乗り越えられたらもっと強くなれる」。自分を見つめ直す時期と新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間が重なった。前回のレースを思い返した時「1人で走りきる強さ」が足りないと感じた。チーム練習ができない時期は実家の東京・青梅市に帰省。なじみの深い青梅マラソンの30キロコースもルートにするなど、1人でもテンポを刻めるよう、距離を踏み続けた。

 7月に玉城良二監督(59)が就任。同監督の下で行った夏合宿でも30キロ走を6本こなすなど「今までで一番距離をこなせた」と手応え。指揮官も「人一倍走るし、常に集中している。頭の下がる思い」と目を細める。10月以降は予選会、全日本大学駅伝、記録会と中1週ごとにレースは続いたが、最後の記録会は1万メートルで自己ベストの28分59秒43を記録。「学生最後のトラックで目標の28分台を出せて自信になる」と成長を実感している。

 卒業後は、子供たちに運動を教える仕事に就く。来年2月のびわ湖毎日マラソンを走る予定もあるが、箱根路は学生最後の勝負の舞台だ。希望区間はもちろん9区だ。「悔しさを晴らして卒業したい。シード権を取るための走りをしたい」。積み上げてきた全てをぶつけ、チームに3年ぶりの歓喜をもたらす。(遠藤 洋之)

 ◆野上 翔大(のがみ・しょうた) 1998年4月26日、東京・青梅市生まれ。22歳。日体大体育学部4年。青梅二中1年から陸上を始める。青梅総合高では青梅マラソン(10キロ)5位。日体大で箱根駅伝は3年時に9区16位、全日本大学駅伝は3年時に5区16位、4年時8区15位。166センチ、56キロ。家族は両親と姉3人。

 ◆日体大 1926年創部。箱根駅伝には49年に前身の日本体育専門学校が初出場して以来、73回連続で出場中。優勝10回。全日本大学駅伝優勝11回。出雲駅伝は最高2位(2010年)。長距離部員は60人、学生スタッフ10人。タスキの色は白。主な陸上部OBは91年東京世界陸上男子マラソン金メダルの谷口浩美氏。

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