そこに集ったのは内藤哲也(38)、飯伏幸太(38)、そして、オカダ・カズチカ(33)―。新日本プロレスが誇るスーパースターたちが新型コロナウイルスとの闘いの中で行われるプロレス界最大の祭典に向け、意気込みを語った。
来年1月4、5日の両日、東京ドームで行われる「WRESTLE KINGDOM 15 in 東京ドーム」の出場選手22人の会見が23日、東京・赤坂の明治記念館で行われた。
新日・東京ドーム大会は今年1月4、5日に史上初めて2日間連続で開催され、計7万71人を動員。1・4大会が4万8人と2012年の4万3000人以来、8年ぶりに4万人を突破。同大会の動員数は13年に2万9000人と落ち込んだものの、16年2万5204人、17年2万6192人、18年3万4995人、昨年3万8162人と右肩上がりを続けてきた、まさにドル箱大会だった。
しかし、コロナ禍の中で行われる15回大会は様々な点で「変化」を余儀なくされる。今年の1・4は11試合、1・5は9試合の計20試合が行われたが、来年は1・4、5とも開始時間前に行われる「第0試合」を含め全7試合に絞り、選手も2日間に振り分ける形。極力2日連続で出場するレスラーを減らした。
観客にも検温、消毒を徹底。客席の間を開ける措置を取り、声援は禁止。8月29日に行われた神宮球場大会同様、拍手で熱い応援を表現する形となる。
そんな厳戒態勢で行われる大会でも全く変わらないのがスター選手たちの晴れ舞台への思いだ。
4日のメインイベントに登場するIWGPヘビーとインターコンチネンタルの2冠王・内藤哲也(38)は挑戦者で今年の「G1クライマックス」で史上3人目の連覇を果たした飯伏幸太(38)との同い年ライバル対決を前に2本のベルトを持って登場。「皆さんと(勝利の)大合唱することはできませんが、花道を反対方向に歩いていくことができる。これはメインイベントで勝った選手のみに許されること。今年はKENTA選手に邪魔されたけど、来年は2日続けて、(勝利後に)反対方向に歩く花道を想像し、楽しみながら、1月4日、5日を迎えたいと思います」と笑顔を見せた。
4日に元弟分のウィル・オスプレイ(27)とのスペシャルシングルマッチを戦うオカダも目を輝かせて、こう言った。「常に僕がトップで戦わないといけないと思ってますので、リング上でしっかり、僕の強さ、かっこよさを見せつけたいと思います」―。
そして、誰よりも熱い言葉を口にしたのが棚橋弘至(44)だった。
一時は暗黒の時代を過ごした新日を一人で支えてきた「エース」は2011年から16年まで6年連続で東京ドーム大会のメインイベンターを務めてきたが、来年1・4は元付き人のグレート―O―カーン(29)とのノンタイトル戦を第4試合という、どこか屈辱的な試合順で迎える。
それでも、棚橋は言った。「2009年(の東京ドーム大会で)武藤(敬司)選手に勝った時、『俺は新日のエースだ』と宣言してから干支が1周してしまいました。東京ドームの試合順もどんどん下がっています。もちろん悔しいけど、このコロナの苦しい状況で奮起しないで、なんで、エースかと。もう一度、新日を立て直し、もう一度、新日の希望になります」―。
さらに「ここ数年、凱旋帰国したレスラーのジャンプ台、いや踏み台になってますんで、二匹目の棚橋はもういませんよと。最高のスタートを切って、2021年の希望になります」と、太陽のような笑顔を浮かべて続けた。
そう、この棚橋の「2021年の希望」という言葉こそが、すべてだ。
コロナがなんだ。うつむくな。新日が誇るスーパースターたちが繰り広げる全力ファイトで東京ドームが沸騰する2日間。そこにプロレスの、スポーツの持つ明るさ、未来への希望が満ちあふれていることだけは間違いないのだから。(記者コラム・中村 健吾)
◆新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM 15 in 東京ドーム」大会(来年1月4日、東京ドーム)
▽第0試合 「KOPW2021」進出権争奪・ニュージャパンランボー
※シングルマッチからスタートして1分ごとに1選手が登場する時間差バトルロイヤル。敗れた選手から退場し最後の4人となった時点で決着
▽第1試合 「BEST OF THE SUPER Jr.27」優勝者vs「SUPER J―CUP2020」優勝者スペシャルシングルマッチ60分1本勝負
高橋ヒロム―エル・ファンタズモ
▽第2試合 IWGPタッグ選手権試合60分1本勝負
タイチ、ザック・セイバーJr.―タンガ・ロア、タマ・トンガ
▽第3試合 IWGP USヘビー級王座挑戦権利証争奪戦60分1本勝負
KENTA―小島聡
▽第4試合 スペシャルシングルマッチ60分1本勝負
棚橋弘至―グレート―O―カーン
▽第5試合 スペシャルシングルマッチ60分1本勝負
オカダ・カズチカ―ウィル・オスプレイ
▽第6試合 IWGPヘビー級・IWGPインターコンチネンタル ダブル選手権試合60分1本勝負
内藤哲也―飯伏幸太
◆新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM 15 in 東京ドーム」大会(来年1月5日、東京ドーム)
▽第0試合 スターダム提供試合
※出場選手未発表
▽第1試合 「KOPW2021」決定戦4WAYマッチ時間無制限1本勝負
※1月4日の「KOPW2021」進出権争奪ニュージャパンランボーで最後に残った4人が4WAYマッチで対戦
▽第2試合 IWGPジュニアタッグ選手権試合60分1本勝負
金丸義信、エル・デスペラード―田口隆祐、マスター・ワト
▽第3試合 NEVER無差別級選手権試合60分1本勝負
鷹木信悟―ジェフ・コブ
▽第4試合 スペシャルシングルマッチ60分1本勝負
SANADA―EVIL
▽第5試合 IWGPジュニアヘビー級選手権試合60分1本勝負
石森太二―4日の高橋ヒロムvsエル・ファンタズモ戦の勝者
▽第6試合 IWGPヘビー級・IWGPインターコンチネンタル ダブル選手権試合60分1本勝負
4日の内藤哲也vs飯伏幸太戦の勝者―ジェイ・ホワイト
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