【日本ハム】金子弌大が考えるプロとしての在り方と、若手投手陣への思い

日本ハム・金子弌大
日本ハム・金子弌大

 朝、目覚めた時に「今日はなんだか気分が乗らないな」という日がときどきある。特に理由はないのだが、皆さんもそういった経験があるのではないだろうか。これまで5年間、プロ野球担当として取材に携わらせてもらった。取材相手は、年間半分以上の期間を試合に費やし、オフシーズンも来季へ向けた準備に費やしているプロ野球選手たち。比べることのは失礼かとも思うが、一流のアスリートたちには、それは無縁の感情なのかと思っていた。しかし実際はそうでもないらしい。

 今月17日、札幌市内の球団事務所で金子弌大投手(37)が契約更改交渉に臨んだ。今季は、自身の希望もあって中継ぎ中心での1年を過ごした。先発時と比べ、練習中やブルペン待機時でより多くの選手と触れる機会が多かったのだろう。こんな言葉が会見の場で語られた。

 「若い選手は気持ちのムラというか、その日のモチベーションの高い低いで練習を左右されるというのが多いなとは思った。自分も若いときはもちろんそうだった。それをうまく良い方向に乗せていってあげるのも、ベテランの仕事なのかなと思う。それは今年うまくしてあげられなかったなと思います」

 金子が語ったのは、目先の結果ではなく、プロとして長く活躍するためにその日を過ごしているか―ということだった。「人それぞれ考えは違うので、僕の考えばかりを押しつけてもダメ」と前置きした上で、自身の経験をもとに思いを語った。それは若手が多いチームにとって、貴重な言葉だった。

 「その日の結果が大事なのは誰しもが分かっていると思うが、その日に結果を残すためにちょっと練習を控えめにして、調整ばかりしていると3、4年後にそのツケが回ってくる。体力が続かなかったり、けがにつながったりというのを僕は割と見てきた。もちろん、その日結果を残すのも大事だけど、近いところで言ったら来月、再来月、半年後。9月、10月に良い結果を残すために4月、5月もしっかり練習しておかないと、その時になって続かなくなってしまうよ、と。僕自身があの時にもっと練習しておけば良かったなと後悔したくないので。若い選手にはそうなって欲しくないし、僕もそれに気付くのが割と遅かった。早い段階で気付いた方がその選手のためにもなる」

 そんな思いを抱きながら、時には若手投手に思いを伝えながら右腕は20年シーズンを過ごしたという。

 金子にとっては今季、中継ぎ起用を直訴して迎えた1年だった。34試合で1勝3敗2ホールド、防御率5・11。これまでの実績からすれば物足りない数字と言えるかもしれない。しかし、プロ16年目での中継ぎ転向も、投手としてより成長するための決断だったのではないかと思う。自分で選んだ道だからこそ、減俸制限(1億円以上は40%)を大幅に超える81%ダウン(1億8000万→3500万)も受け入れた。

 周囲へのサポートもベテランの仕事と理解しつつ、来季は再び先発として勝負する。中継ぎとして1年過ごし、若手投手と比べて登板準備に時間を要する点などから「自分がいい年なんだなと痛感させられた」という。それでも「しっかりと準備をすれば投げられることも分かった1年だった。1年間ブルペンにいた、というのは来年以降につながるんじゃないか」と、確かな手応えも残った。

 通算129勝を積み重ねてきた経験から導き出される言葉には数字では計れない価値がある。それは必ずや日本ハム投手陣の力になる。全てはプロ入り以来経験のない、優勝へとチームとして向かっていくためだ。

 「すごい成績を残したい気持ちも持ってはいるが、それよりも優勝という二文字の方が欲しい。来年が最後のつもりで一生懸命やっていきたい」

 来季でプロ17年目を迎えるが、まだ老け込むには早すぎる。計り知れない積み重ねが報われる瞬間を、多くのファンが待っている。

(日本ハム担当・小島 和之)

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請