【箱根への道】拓大・石川佳樹主将、両足骨折や“強制帰還”乗り越えシード権つかむ

タスキを持ち真剣な表情でポーズを見せる拓大主将・石川佳樹(カメラ・佐々木 清勝)
タスキを持ち真剣な表情でポーズを見せる拓大主将・石川佳樹(カメラ・佐々木 清勝)

 どん底を味わった男が、勝負を懸ける。予選会を9位で通過し、第97回箱根駅伝(来年1月2、3日)でシード権獲得を目指す拓大の主将・石川佳樹(4年)は両すねの疲労骨折から復活。夏合宿では山下拓郎監督(36)から“強制帰還”を命じられるなど精神面でも苦しんだが、後輩たちに22年大会の切符を残すために、最後の箱根路に挑む。

 走れない苦しさを乗り越えて、石川は最後の箱根路を見据えている。前回は5区11位と踏ん張ったが、チームは総合13位。初の3年連続シード権を逃す残念な結果に追い打ちをかけるように、石川の両足は悲鳴を上げた。「状態として万全ではない中、無理に走ってしまった」。代償は大きく、両すねの疲労骨折。7月半ばまで思うように練習を積めない日が続いた。

 くすぶる焦り。走ってみたが、痛みは再発した。「このままではいけない、と思って、しっかり治すためのリハビリに努めました」。主将としては、ミーティングで4年間の苦しさや思いを後輩たちに伝えた。練習は足に負担をかけないように補強やバイクトレーニングを取り入れた。

 だが、痛みが消え去っても次の壁にぶち当たった。「体重が増え、とにかく重いなと」。49キロの体重が、56キロ近くまで増えた。とにかく痩せないと―。自分のことで手いっぱいになった石川を、山下監督は「それでは意味がない。帰って、考えなさい」と8月の阿蘇合宿で“強制帰還”を命じた。指揮官は「チームを導くんだ、みんなで戦っているんだ、という思いがないとだめだ、と思っていました。それでは、予選会は通過できても、本戦では歯が立たない」と意図を明かす。

 「悔しさもあったけど、一番はハッとさせられたというか…全然周りが見えていなかった。もう一度、自分を見つめ直さないといけないと思いました」と、監督の思いを受け止めた石川。自身が不在だった予選会は9位で通過したが、石川は「5位は行けた」と本来のチーム力はもっと上にあると感じた。今はチーム全体を考えながら、自分にできることに打ち込み本大会に備えている。「5区を経験しているので、そこを自分が担えれば他の選手も持ち味を出せる」と2年連続で天下の険を上る覚悟だ。「10位でもいい、何としてもシード権を取る。後輩たちに、それだけは残して卒業したい」。今季の悔しさも力に変えて、チームスローガンの「革命」を箱根路で巻き起こす。(太田 涼)

 ◆拓大陸上部 1921年創部。箱根駅伝は33年に初出場。最高成績は総合7位(2011年)、往路4位(18年)、復路4位(11年)。出雲駅伝は最高4位(18年)。全日本大学駅伝は最高3位(98年)。タスキの色はオレンジ。長距離部員は53人、学生スタッフ11人。選手寮、練習拠点は東京・調布市。主な陸上部OBは12年ロンドン五輪男子マラソン6位の中本健太郎、同45位の藤原新。

  • 拓大登録メンバーと1万メートル自己ベスト

    拓大登録メンバーと1万メートル自己ベスト

 ◆石川 佳樹(いしかわ・よしき)1998年11月20日、栃木・那須烏山市生まれ。22歳。烏山中から烏山高と地元で陸上を続け、拓大商学部に進学。チームで唯一3年連続で箱根駅伝に出場しており、1年7区9位、2年4区13位、3年5区11位。自己記録は5000メートル14分24秒42、1万メートル29分16秒75。167センチ、50キロ。

タスキを持ち真剣な表情でポーズを見せる拓大主将・石川佳樹(カメラ・佐々木 清勝)
拓大登録メンバーと1万メートル自己ベスト
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