新庄剛志氏(48)が13日、現役復帰を断念したことを自身のインスタグラムで明らかにした。「1%の可能性を信じてやって来たが、今日0%になりただただ悔しいし情けない、身の程を知りました! 応援してくれた皆んな、サポートしてくれた皆んなに申し訳ない!」(原文まま)と投稿した。
7日の12球団合同トライアウトに参加後、「6日間でオファーがなかったら野球は終わる」と明言していたが、この日が自身の設定したタイムリミットだった。
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グラウンドで新庄氏が放った輝きに“夢”を見た。トライアウト参加選手の平均年齢は27・1歳。ほとんどの選手が親子ほどの年の差だったが、キャッチボールでの送球、シートノックでの身のこなし、打席でのスイング、どれをとっても、周囲の選手と遜色なかった。
10年以上野球から離れていた48歳とは思えなかった。非公表だった会場外に数十人の女性ファンが駆けつけるスター性も健在だった。私が小学生だった99年6月12日。巨人戦(甲子園)で敬遠球をサヨナラ安打にした瞬間を、左翼席で観客の一人として目撃した。これまで数え切れないほどの試合を見てきたが、あの驚きは20年以上たった今でも忘れることがでない。想像をはるかに上回るスターだった。
成績以上に奇想天外なプレーや言動で野球ファンを魅了してきた新庄氏。時代の進歩とともに、球場でできる演出の幅も広がった。SNSなど、選手が発信する場も増えた。今の時代なら、どんなことをしてくれるのだろう、と考えるとワクワクする。もちろん各球団は日本一を目指し、長期的な視点で若手を育成しながら戦っていかなければならない。そんな現実は分かっているけれど、“夢”の挑戦が終わることが残念だ。(安藤 宏太)