【箱根への道】東洋大・宮下隼人が「4代目・山の神」…前回5区区間賞「勝ちきるのが僕の仕事」

1万メートルで大幅自己新をマークした宮下隼人(カメラ・太田 涼)
1万メートルで大幅自己新をマークした宮下隼人(カメラ・太田 涼)

 第97回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、逆襲に燃えているのが東洋大だ。19年大会まで11年連続3位以内と圧倒的な勝負強さを誇っていたが、前回は10位とシード権確保がやっと。11日にオンライン取材会に出席した前回5区区間賞の宮下隼人(3年)は、エースの自覚とともに平地での走力も急成長。酒井俊幸監督(44)の妻で競歩担当の瑞穂コーチ(44)を通じて「2代目・山の神」柏原竜二さん(31)から金言をもらい、「4代目」襲名とチームの上位進出を目指す。

 天下の険で勝負を決める。宮下は力強く言い切った。「5区を任されたら、前回の区間賞のことは意識せず、自分の力を100%発揮したい」。おごりはないが、自信はある。今季は1万メートルで自己記録を40秒以上更新。山上りの適性に加えて、地力も確実につけて箱根路への準備を整えてきた。

 チーム状況を考えても、2年連続の5区起用が濃厚で、前回の経験が武器になる。「タイムを稼ごうと、序盤に突っ込むのは禁物。後半の粘りと上りの強さが持ち味なので、そこは意識しますね」。13・2キロ付近の小涌園前あたりから本格的にギアチェンジし、勝負に出るつもりだ。

 背中を押してくれるのが憧れの人から贈られた言葉だ。柏原さんは10月、瑞穂コーチに所用で連絡した際、2度目の5区に挑む後輩へのアドバイスを伝えた。

 「トラック、ロードすべてパワーアップしないと2年目のジンクスに勝てない。ラップ(途中計時)を気にして走るのではなく、箱根の山を上り切る強い気持ちで挑んでほしい」

 宮下はトラックレースだけでなく、11月の全日本大学駅伝8区(19・7キロ)で昨年大会の自身の記録を1分20秒短縮。「2代目・山の神」の“金言”を受け、自分の力を信じて再びの山上りに挑むつもりだ。

 酒井監督が期待するのはもちろん区間賞だが、前回とはその重みが違う。「前回は初めてで区間賞。5区で2年連続となれば、柏原以来です。勢いではなく、狙って取る区間賞こそ、価値は高いし、目指してもらいたい」と力を込める。それだけの重責を担う覚悟と力を、宮下はこの1年で培ってきた。

  • 1月、箱根駅伝の5区を力走する東洋大・宮下

    1月、箱根駅伝の5区を力走する東洋大・宮下

 コロナ禍で寮が閉鎖された春先は、地元の山梨・富士吉田で黙々とトレイルランを行い脚力を鍛えた。チームに戻ってからもエース西山和弥(4年)がケガで走れない時期は「任せて下さい!」とけん引。「前回の結果で、度胸がつきました。高校時代は雲の上だった他校のエースとも、今は肩を並べて走れる。その中で勝ちきるのが僕の仕事です」。心技体―。全てが万全の宮下が、満を持して「4代目・山の神」襲名を目指す。(太田 涼)

 ◆宮下 隼人(みやした・はやと)1999年10月15日、山梨・富士吉田市生まれ。21歳。富士河口湖高1年から陸上を始める。2018年に東洋大理工学部に入学。19年関東学生対校1部ハーフマラソンで日本人トップの2位。昨季の学生3大駅伝はフル出場し、箱根5区では区間新記録で区間賞を獲得。今季は全日本大学駅伝8区4位、1万メートルでも自己記録を28分37秒36まで伸ばした。174センチ、60キロ。

 ◆山の神 箱根駅伝で最も過酷な5区の山上り、05年大会で15位でタスキを受けた今井正人(順大)は、区間新で11人をごぼう抜き。驚異的な走りから「山の神」の異名を取った。2代目が柏原で09年、1年生ながら8人抜きで当時の区間記録を更新。4年連続区間賞を獲得した。3代目の神野大地(青学大)は3年生で迎えた15年、一部コース変更のために参考記録扱いとなった柏原の記録を24秒更新した。

 ◆東洋大陸上部 1927年創部。箱根駅伝には33年に初出場。2009年に初制覇するまで歴代優勝チームで最も長い76年を要した。優勝4回(09、10、12、14年)。出雲駅伝優勝は1回(11年)。全日本大学駅伝は優勝1回(15年)。タスキの色は鉄紺。長距離部員は選手50人、スタッフ7人。主なOBはタレントの植木等、100メートル前日本記録保持者の桐生祥秀、「2代目・山の神」と呼ばれた柏原竜二、東京五輪男子マラソン代表の服部勇馬ら。

1万メートルで大幅自己新をマークした宮下隼人(カメラ・太田 涼)
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