【箱根への道】中大・吉居大和、名門復活へ「他校のエースに勝ちたい」スーパールーキーが誓う

長い距離へ対応するために走り込む中大・吉居(左)(右は森=カメラ・太田 涼)
長い距離へ対応するために走り込む中大・吉居(左)(右は森=カメラ・太田 涼)

 第97回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、最多14回の優勝を誇る中大は、名門復活の第一歩として、9年ぶりのシード権(10位以内)奪回、さらには3位を目指す。その原動力はスーパールーキーの吉居大和だ。4日の日本選手権5000メートルでは自らが持つU20(20歳以下)日本記録を更新する13分25秒87をマークして3位入賞。陸上一家の家族への感謝の思いを秘めて、母校のために初の箱根路に臨む。10日は出場21チームの登録メンバー16人が発表される。

 長らく低迷していた中大は今、確実に復活途上にある。「チーム目標は3位。そのために往路の序盤区間で他校のエースに勝ちたい」。1年生ながらエースの吉居は、冷静な表情で熱い気持ちを明かした。

 今季の成長はすさまじい。7月に5000メートルでU20日本新記録の13分28秒31をマーク。9月の日本学生対校5000メートルで優勝。ハーフマラソンで争われた10月の予選会は同学年の順大・三浦龍司に6秒遅れたが、マラソン日本記録保持者の大迫傑(29)=ナイキ=が持っていたU20日本記録に並ぶ1時間1分47秒の好走で2位通過に貢献した。

  • 9月の日本学生対校男子5000メートルで優勝した吉居

    9月の日本学生対校男子5000メートルで優勝した吉居

 11月には藤原正和監督(39)が「練習の一環で7割の仕上げ」という状態ながら、1万メートルでU20日本歴代3位の28分8秒61で走破。藤原監督が2000年につくった中大記録(28分17秒38)を20年ぶりに破った。勢いは止まらず、日本選手権5000メートルでは社会人相手に3位に食い込み、再びU20日本記録を更新した。

 力の源は故郷と家族にある。父・誠さん(51)は強豪・トヨタ自動車の元ランナーだったため、その本拠地の愛知・田原市で生まれ育った。「中学時代、毎週土曜日はトヨタさんと同じ競技場で練習していた。トップランナーの走りを間近で見て、いいイメージを持てたことはプラスになっています」。母・美奈子さん(51)もトヨタで活躍し、91年の5000メートル日本ランク79位になった全国レベル。「いつも栄養を考えた食事をつくってくれます」と感謝した。

 2学年下の弟・駿恭(しゅんすけ)は高校トップランナー。昨年12月の全国高校駅伝では宮城・仙台育英のチームメートとしてともに戦い、全国優勝を果たした。「駿恭は刺激になる存在。絶対に負けられない」という。実は大耀という双子の弟もいる。「あまり速くないけど、中京大で頑張って走っています。僕の試合結果が良かった時は『おめでとう』とすぐに連絡がある。ありがたい存在です」と話す。

 抜群の勝負強さを持つが、高校2年時には全国高校駅伝1区で42位とブレーキになった。父・誠さんも佐賀・鳥栖工時代の87年に同1区34位と苦戦。「そのタイムが全く同じ31分53秒。不思議です。そのお陰で、あの時の失敗を絶対に忘れないようになっています」と苦笑いしながら明かした。

  • チーム目標の箱根3位以内へ、自分の役割を果たしたいと話す吉居

    チーム目標の箱根3位以内へ、自分の役割を果たしたいと話す吉居

 中大は最多14回の優勝を誇るが、96年を最後に遠ざかっている。「今回、優勝の足がかりをつくって、在学中に優勝回数を増やしたい」と意欲的だ。名門の完全復活へ、大和の快進撃は続く。(竹内 達朗)

 ◆吉居 大和(よしい・やまと)2002年2月14日、愛知・田原市生まれ。18歳。父の影響で小学校3年生から陸上を始める。田原東部中3年時に1500メートル、3000メートルで全国大会出場も予選敗退。宮城・仙台育英高に進み、全国高校駅伝では1年2区2位、2年1区42位、3年3区8位。今年、中大法学部に入学。5000メートルのU20日本記録保持者。早生まれのため来年12月末までU20カテゴリー。「1万メートル、ハーフマラソンでもU20日本記録を出したい」。168センチ、49キロ。

 ◆中大陸上競技部 1920年創部。今年、創部100周年を迎えた。箱根駅伝には20、24、2017年の3回を除き出場している超名門校。優勝(14回)、連続優勝(6回)、出場(94回目)、連続出場(87回)の最多4冠を誇る。出雲駅伝、全日本大学駅伝は2位が最高(ともに3回)。主な陸上部OBは16年リオ五輪男子400メートルリレー銀メダルの飯塚翔太ら。主な大学OBは巨人の阿部慎之助2軍監督ら。

 ◆新人四天王 今季のルーキーは逸材がそろう。全日本大学駅伝では1区で三浦、4区で石原翔太郎(東海大)、5区で佐藤一世(青学大)が区間新記録で区間賞を獲得。この3人と吉居が「新人四天王」と呼ばれる。駒大には鈴木芽吹、白鳥哲汰、青柿響、花尾恭輔、赤津勇進と精鋭が多い。東海大の佐伯陽生、明大の児玉真輝、早大の辻文哉、東洋大の松山和希、専大の木村暁仁らも箱根駅伝で活躍が期待される。

長い距離へ対応するために走り込む中大・吉居(左)(右は森=カメラ・太田 涼)
9月の日本学生対校男子5000メートルで優勝した吉居
チーム目標の箱根3位以内へ、自分の役割を果たしたいと話す吉居
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