神田伯山、昇進後初トリに期待大 「山翁まつり」「よみらくご」で感じた心意気

講談界をけん引する神田伯山(右)と師匠の神田松鯉(中央、左は伯山の大師匠になる2代目・神田山陽)
講談界をけん引する神田伯山(右)と師匠の神田松鯉(中央、左は伯山の大師匠になる2代目・神田山陽)

 今年2月に真打ちに昇進した講談師・神田伯山(37)が新宿末広亭・12月中席(11~20日)夜の部で昇進後初のトリを務める。既に6日の浅草演芸ホール・夜の部でトリを務めたが、これは姉弟子・神田鯉栄が休演したための代演となる“代バネ”だった。

 10月30日の「山翁まつり」(お江戸上野広小路亭)で久々に生の伯山の高座にふれた。大師匠の2代目神田山陽の命日に一門が行っており、今年は没後20年。出演者が多いため持ち時間がわずかだが、出演者が「伯山がようやく楽屋入りしました」「お目当ての伯山の登場までもう少しお待ち下さい」などとたびたびネタにするなど、一門で愛されていることを感じた。伯山は師匠の人間国宝の神田松鯉と師弟対談にも登場。日本講談協会会長・神田紅の「二代目神田山陽一代記」や、それぞれのバラエティーに富んだ芸を目にして、2代目・山陽の功績と人となりを知ることが出来た。

 11月12日の「第19回よみらくご 伯山スペシャル」(よみうり大手町ホール)での“独演会”で伯山は、初代・伯山が登場する「東玉と伯円」や、初代・伯山が十八番とした「徳川天一坊」の「天一坊の生い立ち」など3席を披露。圧倒的な熱量で会場の空気を一つにした。「伯山」という大きな名跡を襲名したことでの今後の“決意表明”ともいえる講談だった。

 「よみらくご」では前座2人を高座に上げた。妹弟子の神田鯉花と、弟弟子の神田松麻呂だ。伯山は「前座を2人上げるときは、自分のやる気がない時です」と冗談を言いながらも、大きな舞台を経験させたいという先輩としての配慮がにじむ。寄席とは違う、500席の大きなホール、必死な2人はそれを味わうところまで行かなかっただろうが、この経験は、将来の大きな財産になるはずだ。

 「山翁まつり」での対談で松鯉は伯山に「早く弟子を取りなさい」とやさしく諭すように語っていた。伯山も松鯉に弟子入りを許されなければ、今のような活躍はなかっただろうし、松鯉も師匠の2代目・山陽がいたことで誕生した。横浜にぎわい座の館長で演芸評論家でもある布目英一さんが語っていた「芸人がいる芸能は残ります。絶やしちゃダメなんです」との言葉が腑に落ちる。苦難の時期に、講談の灯を先輩たちが脈々とつないできたからこそ今がある。

 「山翁まつり」で大師匠や先輩たちへの尊敬の念を、「よみらくご」で後輩への気遣いを、神田伯山の振る舞いから感じた。11日からは寄席で10日間、トリを務める。テレビなどメディアでの活躍で多忙ではあるだろうが、寄席を大事にする心意気がまたいい。松之丞時代に講談界の風雲児としてブレーク、襲名してから1年、神田伯山の存在が講談界でより大きなものになっている。(記者コラム・高柳 義人)

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