【箱根への道】青学大・神林勇太、最後の箱根路から生涯の箱根へ…競技人生ラスト、卒業後はサッポロビール就職

ストレッチしながらチームメートと会話を交わす神林勇太(カメラ・中島 傑)
ストレッチしながらチームメートと会話を交わす神林勇太(カメラ・中島 傑)

 1920年に始まり100年の歴史を持つ箱根駅伝だが、来年1月2、3日の第97回大会は特別なレースとなる。主催の関東学生陸上競技連盟は新型コロナウイルス対策として、ファンに「観戦・応援目的での外出はお控えください」と発信。異例の大会に臨む全21チームを「箱根への道」特別編として日替わりで紹介する。第1回は2年連続6度目の優勝を狙う青学大。コロナ禍の中、懸命にチームを率いてきた主将の神林勇太(4年)は、箱根路を最後に競技の第一線から退く。

 競技人生のラストと決めた大会が、コロナ禍でなくなるかもしれない。神林は気持ちが折れそうになりながらも、懸命に大学最終年度の練習を重ねてきた。

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 「出雲駅伝(10月)の中止が決まった日(7月27日)が精神的に一番きつかった。『全日本大学駅伝も箱根駅伝も中止かも…。苦しい練習をしている意味があるのかな』と考えてしまった。でも、来年、再来年がある後輩の前で気が抜けた態度を取るわけにはいかない。気持ちを奮い立たせて4年間で一番、中身の濃い夏合宿を過ごせました」と神林は静かに振り返る。原晋監督(53)も「先行きが見えない中、主将の神林とエースの吉田(圭太)が2トップとしてチームを引っ張った。立派だった」と高く評価した。

 変則的に今季の学生3大駅伝開幕戦となった全日本で、神林はエース区間の7区で区間賞を獲得し、首位に立った。最終8区で盟友の吉田が抜かれ、4位に終わったが、存在感を示した。いとこでアイドルグループ乃木坂46の佐藤楓(22)からは「すごいね」とLINEが届いたという。神林は「1学年違いで小さい頃から仲が良かった。応援してもらえることはうれしいですよ」と話す。

 学生トップレベルの実力を持つが、卒業を区切りに第一線から退いて、箱根駅伝と縁が深いサッポロビールに入社が内定している。「進路は悩みましたけど、3月に実業団には行かないことを決めて、就職活動を始めました。入社したら営業で活躍したい。将来は広報宣伝で箱根駅伝に携われればうれしい」と夢を語る。

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 大学の先輩の吉田祐也(23)=GMOインターネットグループ=は4年時、大手食品メーカーのブルボンから内定を得ていたが、箱根4区区間新、別大マラソン日本人学生歴代2位と快走したことで翻意し、競技続行。6日の福岡国際マラソンで初優勝を飾った。先輩の例はあるが、神林は「僕は進路が変わることはありません」と笑顔で否定する。中国電力でのサラリーマン時代「カリスマ営業マン」の異名を取った原監督は「神林はどの分野でも活躍できる」と太鼓判を押した。

 前回箱根は大観衆の中、9区で先頭を走り続け、区間賞を獲得した。今回、主催の関東学連はファンにテレビなどでの応援を呼びかけている。「どんな雰囲気になるか分かりませんが、走れることに感謝します。選手は全力で走るだけです」。全選手の思いを代弁するように話す神林。特別な箱根駅伝が、いよいよ迫ってきた。(竹内 達朗)

 ◆神林 勇太(かんばやし・ゆうた)1998年5月8日、川崎市生まれ。22歳。宮前平中1年から陸上を始める。3年時に全国大会で1500メートル8位、3000メートル2位。熊本・九州学院高に進学し、全国高校駅伝で1年7区3位、2年4区3位、3年4区2位と安定した成績を残した。17年に青学大地球社会共生学部に入学。2年時の2月から3年時の7月までニュージーランドに留学した。学生3大駅伝では3年時に出雲4区、箱根9区、4年時に全日本7区と3回区間賞獲得。172センチ、58キロ。

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