【五輪の深層】小谷実可子さんら要職で活躍「ソウル五輪世代」…ソウルから支え続け32年の組織委参与・上治丈太郎氏

18年、東京で行われた会議で和服姿を披露した小谷実可子さん(右)と上治氏(上治氏提供)
18年、東京で行われた会議で和服姿を披露した小谷実可子さん(右)と上治氏(上治氏提供)

 昨今、どのジャンルでも「~世代」という表現が用いられる。女子ゴルフ界では黄金世代やミレニアム世代、プロ野球界では松坂世代、漫才界でも第7世代―。そして今、スポーツ界では「ソウル五輪世代」が中核として、素晴らしい存在感を世界的にも発揮している。

 夏冬合わせ7回の五輪出場を誇る現五輪相の橋本聖子さん。1988年ソウル大会では自転車競技に出場し、日本人初の夏冬出場を果たした。95年の参議院選挙で初当選し多くの要職を歴任。2006年から日本スケート連盟会長としても尽力し、特に14年ソチ、18年平昌五輪では金メダルを含め素晴らしい成果を残した。

 100メートル背泳ぎで金の鈴木大地氏。引退後は海外留学で知見を深めると、帰国後は母校・順大の教授と水泳部監督を務め、46歳の若さで日本水泳連盟の会長に。今年9月まで5年間、初代スポーツ庁長官を務められた。東京五輪招致では、13年のIOC総会直前の世界水泳でも、一緒にロビーイングをさせてもらった。

 シンクロナイズド・スイミング(現アーティスティックスイミング=AS)のデュエットで銅の田中ウルヴェ京さん。引退後はJOCの海外研修制度で研鑽(けんさん)を積み、今ではメンタルトレーニングの指導を軸に、IOCのマーケティング委員、なでしこジャパンのメンタルコーチも務め、その他テレビなどでもコメンテーターとして活躍されている。

 そして、10月に五輪組織委のスポーツディレクター(SD)に就任された小谷実可子さん。ソウルではシンクロのソロ、デュエットでともに銅。今のスポーツ界において、私が知る限り、小谷さんほどスポーツのあらゆる場面を経験された方はいないと思う。ソウルでの栄光の4年後、92年バルセロナ五輪では試合直前で控えに回り、出場機会がないまま終わった。奥野史子、高山亜樹組の演技中、客席で涙を流しながら観戦していたことを思い出す。

 引退後が素晴らしかった。シンクロの大会では一補助員として、先輩役員やスポンサーへお茶や弁当を運び、黙々と裏方の仕事に徹していた。海外選手へのきめ細かい気配りも欠かさない。97年11月には国連総会に民間人として初めて出席し、スポーツと平和に関する議題で講演、長野五輪開催中の停戦決議が全会一致で採択された。そのとき国連ビルの売店で売っているロゴ入りのゴルフボールをお土産に頂き、今では宝物だ。

 2児の母でもあり、ライフワークのASでも子供たちの育成に注力している。東京では選手村副村長にも名を連ねる一方、SDとしても精力的な活動を行っている。日の当たらないところでいわゆる“雑巾がけ”もこなされた経験が生き、アスリートの気持ちも、組織側の言い分も、熟知されている。タフな交渉事など重責を担われるが、これまでの蓄積を生かし、五輪を成功に導いてほしいと思う。

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