ケンブリッジ飛鳥がボルトを本気にさせた第4コーナー…カメラマンが見た2016年リオ五輪

男子100×4メートルリレー決勝 桐生からバトンを受け取りゴールを目指すケンブリッジ飛鳥(右から三人目はボルト)
男子100×4メートルリレー決勝 桐生からバトンを受け取りゴールを目指すケンブリッジ飛鳥(右から三人目はボルト)

 スポーツ報知のカメラマンが、五輪の名場面を振り返る企画の最終回は2016年リオデジャネイロ大会。

 陸上競技が行われたスタジアムはウサイン・ボルト(ジャマイカ)の100メートル、200メートル、400メートルリレーの3大会連続3冠(北京のリレー金メダルはその後、メンバーのドーピング陽性ではく奪)を期待し、リレーが始まる前から熱気と緊張感で満ちあふれていた。

 ボルトの歴史的瞬間を撮影しようと、世界中のカメラマンが集まっていた。私は、ボルトと日本代表・ケンブリッジの両アンカーの絡みとバトンリレーを撮影するため、第4コーナーで撮影することにした。絶対王者であるジャマイカのボルトと、ケンブリッジとのバトンパス時点での差を1枚の写真に収めれば、レースの状況を最も分かりやすく伝えられると判断したからだ。

 それまで陽気に騒いでいたブラジル人が一斉に静まり返り、スタートの合図と同時に今まで以上の熱気に包まれた。しかし、この日一番の歓声が起こり、会場がどよめいたのは第4コーナーでの予想外の展開に対してだった。

 100メートルを9秒台で走る選手をそろえた各国の代表がいる中で最初にバトンを受け取り、隣のレーンを走るボルトよりも先に、ケンブリッジが走り出した。ファインダー越しにも、歴史的な瞬間を撮影しているのだと確信して鳥肌が立った。自然とカメラを握る手にも力が入った。心の中で「頑張れ!」と叫び、必死にシャッターを押していた。

 惜しくも抜かれて銀メダルだった。写真を見返すとボルトの表情からも絶対王者を本気にさせ、あと一歩まで追い込んだことが伝わる写真が撮れた。(中島 傑)

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