新谷仁美、18年ぶり日本新記録!五輪代表内定「満足のいくレースができました」

日本新を表示する計時板を前に笑顔でポーズする新谷
日本新を表示する計時板を前に笑顔でポーズする新谷
新谷の現役復帰以降の成績
新谷の現役復帰以降の成績
新谷のラップタイム
新谷のラップタイム

◆陸上 日本選手権長距離(4日、大阪・ヤンマースタジアム長居)

 女子1万メートルで既に東京五輪参加標準記録を突破していた新谷仁美(32)=積水化学=が、18年ぶりの日本新記録となる30分20秒44で優勝し、五輪代表に内定した。従来の日本記録を28秒45も更新。19人を周回遅れにする激走で2012年ロンドン以来、2度目の五輪切符を得た。女子5000メートルでは19年ドーハ世界陸上代表の田中希実(21)=豊田自動織機TC=が15分5秒65で、ライバル・広中璃梨佳(20)=日本郵政グループ=を1秒46差で振り切って制し、初の五輪を決めた。

 女王がようやく笑顔を見せた。2000メートルでトップに立った新谷は、400メートル73秒前後のハイペースを淡々と刻んだ。東京五輪マラソン代表の一山麻緒(23)=ワコール=以外の出場者を全員周回遅れにする圧倒的な強さ。レース後の第一声は、「満足のいくレースができました」。スタンド席に深々と頭を下げ、感謝を示した。

 レース前はどん底にいた。勝てるのか、求める記録に届くのか。考え始めると涙があふれた。指導する横田真人コーチ(33)=TWOLAPS=は、「いつものこと。儀式のようなものなので」という。どんな試合の前でも不安がくすぶる。前日会見では日本新を公言。「世界トップは29分台。今の私の300メートル先に優勝者がいる」。全ては求める理想が高いからだ。

 13年モスクワ世陸で5位となったが、「全てを懸けた大会でメダルを取れなかった。“プロ”として失格」と、14年1月に引退宣言。当時も現役復帰後も、共通しているのは世界を見据えていたこと。「日本記録を更新しないと、世界では戦えないと思っていた」。02年に渋井陽子が樹立した30分48秒89という日本記録の壁。今、ようやく乗り越えられたのは、「信頼できる味方ができたからです。結果が出なかったら横田コーチのせい。私は全力を尽くすだけ」と、全幅の信頼を置いている。

 約5年のブランクを経て、現役復帰直後はダイエットランから始めた。18年6月の日体大競技会3000メートルで9分20秒74の再スタート。それ以来、21レースに出場し、全種目で引退前の自己記録を上回った。「引退前も今も走るのは嫌い。好きなことが天職だなんてことの方が、珍しいんですよ」。好きになれないからこそ、自分に厳しく、攻略に全勢力を注ぐ。

 昨年は日本選手権3位、ドーハ世陸でも11位に終わり、悔しさが募った。それでも見つめていたのは日本一ではなく世界一。スピードもスタミナも求めた結果、ハーフマラソン日本新と5000メートル日本歴代2位をマーク。満を持して臨んだこの日の1万メートルで、今季世界2位をたたき出した。「新たなスタートに立てて良かったです」。進化した32歳。限界など、絶対女王にはない。(太田 涼)

 ◆新谷 仁美(にいや・ひとみ)1988年2月26日、岡山・総社市生まれ。32歳。総社東中で陸上を始め、興譲館高時代には2005年世界ユース3000メートル3位。卒業後に豊田自動織機に進み、佐倉アスリートクラブ、ユニバーサルエンターテインメントなどに所属。07年東京マラソン優勝。12年ロンドン五輪1万メートル9位、13年世界陸上同5位。14年に引退も18年6月に復帰。今年1月に積水化学に移籍し、ハーフマラソンで1時間6分38秒の日本記録を樹立。5000メートルの自己記録は日本歴代2位の14分55秒83。

日本新を表示する計時板を前に笑顔でポーズする新谷
新谷の現役復帰以降の成績
新谷のラップタイム
すべての写真を見る 3枚

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請