2年ぶりの優勝 貴景勝の“言葉”で振り返る栄光と挫折【下】

賜杯を手に笑顔を見せる貴景勝
賜杯を手に笑顔を見せる貴景勝

 11月場所で2年ぶりの優勝を飾った大関・貴景勝(24)=常盤山=。大関としては初の優勝で、来年初場所(1月10日初日・両国国技館)では綱取りに挑む。2018年九州場所の初V以降、大関昇進や陥落、ケガなど山あり谷ありだった2年間。その節目、節目となる出来事の中で、貴景勝はどのような言葉を残してきたのか。(上)に続く今回、大関昇進から2度目の優勝までを振り返る。

 ▽2019年3月27日、大関昇進伝達式。口上の「武士道精神を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず」に思いを込めた。

 『日頃から勝っておごらず負けて腐らずという意識は、武士道から習得した。義理人情とか、受けた恩は必ず返す人間でありたい』

 

 ▽5月15日、新大関場所の夏場所4日目。御嶽海を寄り切った一番で、右膝を負傷。膝の内側に氷をあてながら語る。

 『大丈夫っすよ。大丈夫。痛めてないです』※5日目から途中休場

 

 ▽同19日、夏場所8日目。右膝に不安を抱える中再出場するも、碧山に敗れ9日目から再休場。大関の再出場は極めて異例だった。

 『自分にとって嫌な経験は、自分を強くしてくれる。必ず何年後かに、成長させてくれると思う。自分の相撲人生として、どういう人生にしたいか。その考えを持ってやるだけ』

 

 ▽7月4日。カド番の名古屋場所に向け出場を目指したが、右膝の状態から休場を決断。在位2場所で大関から陥落。

 『5、6年後に「この経験があるから今の自分がある」と言えるように、気持ちを入れ直してやるしかない。いいことがあれば悪いこともある。ここで精神的に強いか、分かれてくる』

 ▽8月29日。大関陥落後、1場所での復帰を目指す秋場所に向けて。

 『腐るというのは気持ちが弱い。腐ることが、今一番やっちゃいけないこと』

 ▽9月19日、秋場所12日目。10勝目を挙げ、1場所での大関復帰を決める。直後の支度部屋。

 『けがはしない方がよかったけど、1場所何としてもそこ(復帰)に向かってやってきたことは、自分のためになると思う』

 ▽同22日、秋場所千秋楽優勝決定戦。御嶽海に敗れた際、左大胸筋を肉離れ。痛みを必死にこらえながらも、口をついた一言。

 『またかよ…』

 

 ▽11月20日、九州場所11日目。一度は大関陥落、そして直前場所での大けがも乗り越え、大関として初めて勝ち越しを決める。

 『少し遠かった。大関として勝ち越したことがなかったから。1、2年前は本場所に出ることが当たり前だった。7月に出られなくて、15日間相撲を取れる喜びが分かった』

 ▽2020年1月20日。初場所9日目の、朝の稽古場。「精神的に強くなる時はどんな時か」と問われて。

 『自分にとってうまくいかなかった時。調子が悪い時は、成長できる環境。苦しんでやることが精神的な成長につながる』

 ▽同日。「場所中に何も考えないという時間はないのか」と問われ。

 『ない。飯を食っていくかいかないかの世界。何も考えずにと、そんな甘い世界じゃない。頭がすり切れるまで考えた方がいい。たかが15日間、半月だから』

 ▽1月25日、初場所14日目。朝乃山に敗れ、優勝が消滅。土俵下では悔しさに顔をゆがませた。支度部屋での囲み取材も、記者は大関を気遣い空気が重い。その雰囲気を察した貴景勝が、表情を柔らかくし一言。

 『そんなにしんみりしないでよ。俺よりしんみりしてるじゃん』

 ▽3月20日、春場所13日目。7敗目を喫し、負け越しまであと1敗と追い込まれた取組後。

 『俺は全然苦しくない。こういう場所もあると思ってるし、いい経験している』

 

 ▽7月29日、7月場所11日目。勝ち越してカド番を脱出。無観客の春、夏の中止を経ての言葉。

 『僕の場合は自分にとってマイナスなものはお客さんがかき消してくれる。100%しか出せないものを、120に引き上げてくれる』

 ▽11月23日、11月場所優勝一夜明け会見。突き押し一本での横綱昇進の難しさを問われ。

 『だから、目指す価値はあると思います』(おわり)

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