菅義偉首相「Go To」運用見直しを野党が一斉批判「遅きに失した」「非常に中途半端」

菅義偉首相(ロイター)
菅義偉首相(ロイター)

 菅義偉首相は21日、新型コロナウイルス感染症対策本部を官邸で開催し、観光支援事業「Go To トラベル」の運用見直しと、飲食業界の支援策「Go To イート」を巡り、食事券の新規発行停止などの措置の検討を都道府県知事に要請することを表明した。この日も東京で過去最多の539人の新規感染者が確認され、全国でも4日連続の最多更新となる2500人以上を記録するなど、感染が拡大の一途をたどっているため。経済再生を優先してきた菅氏にとって、方針転換を迫られた形だ。

 11月に入り、新型コロナの「第3波」襲来が鮮明になった後も、かたくなに「Go To―」の続行を主張し続けてきた菅氏が、ついに方針を変更せざるを得なくなった。

 菅氏は、現在の感染状況に関し「最大限の警戒状況が続いている」と指摘。「感染拡大が一定レベルに達した地域では、より強い措置を講じる」と運用見直しを明言した。「Go To トラベル」は、感染拡大地域を目的地とする旅行の新規予約を一時停止する措置を導入。一方、「Go To イート」については、プレミアム付き食事券の新規発行停止などを都道府県知事に要請する。

 「Go To―」は、経済回復を旗印としてきた菅氏の目玉事業。来夏の東京五輪・パラリンピックへの機運を高めるためにも、見直しには否定的だった。13日にも「専門家が現時点ではそのような(見直しをする)状況にはないとの認識を示している」と述べ、国民の自主的な予防に頼る姿勢を見せていた。

 だが、直近の感染状況がそれを許さなかった。新規感染者は全国で急増し、21日は2500人を超えた。日本医師会の中川俊男会長は、18日に「(『Go To―』が拡大の)きっかけになったことは間違いない」と言及。20日の分科会では、尾身茂会長が「感染拡大の早期の沈静化、人々の健康のために、英断を心からお願い申し上げる」と強調し、政府に早期の対応を迫った。“より所”としていた専門家の危機感に、政府も渋々従わざるを得なかった。

 政府としては、全国一律の制限ではなく、各知事が地域ごとの感染状況を踏まえて適用を制限する区域を判断する方向で調整を進めたい考え。専門家の警鐘でようやく重い腰を上げた格好だが、具体的な対象地域や期間について言及はなかった。旅行客や事業者に混乱が広がりそうだ。

 さらに、本格的な冬が近付く中、「手を打った」はずの政権内でも不安は消えない。政府筋からは「今後、感染者数が抑えられるかどうかは誰も分からない。突き抜けた数字が出るかもしれない」との声も上がった。

 野党は21日、観光支援事業「Go To トラベル」の運用見直しを表明した菅義偉首相を「遅きに失した」(共産党の小池晃書記局長)と一斉に批判した。立憲民主党の福山哲郎幹事長は「いつから停止するかは明らかになっておらず、国民が混乱するばかりだ」と非難。25日の衆参両院予算委員会集中審議で追及を強める構えだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は「非常に中途半端な印象。かえって不安を与える結果にならないか心配だ」と語った。

 東京都の小池百合子知事は「国が主体的に決めることだ」と述べた。大阪府の吉村洋文知事は「いったん立ち止まるべきだ」と理解を示した。

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