女性が喜ぶ町を野球とともに…人口2万6087人の佐賀・嬉野市が「女子野球タウン」認定にかけた、知られざるオランダとの縁

1週間のキャンプで、嬉野市民らと触れあった女子野球オランダ代表(2014年8月、嬉野市提供)
1週間のキャンプで、嬉野市民らと触れあった女子野球オランダ代表(2014年8月、嬉野市提供)

 町ぐるみで女子野球を応援して、地域を活性化させていく―。16日に全国3つの自治体が、「女子野球タウン」として全日本女子野球連盟から認定されました。全国大会が開催されている愛媛県松山市や埼玉県加須市とともに選ばれたのは、これまで女子球界では“無名”だった佐賀県嬉野(うれしの)市。漢字を分解すると「女」性が「喜」ぶ町を女子「野」球とともに…とも読み解ける、幸せ感あふれるこの町が力を入れたきっかけは、6年前のオランダとの縁でした。(軍司 敦史)

 嬉野市は佐賀県の西部、武雄市や焼き物で知られる有田町の南に位置し人口は2万6087人(2019年)。玉緑茶の「嬉野茶」や温泉が有名で、22年には長崎から部分開通する九州新幹線西九州ルートの駅が置かれ発展が期待されています。

 9月に「女子野球タウン」の公募が始まるとすぐにプロジェクトチームを発足させ猛アピール。応募のあった10近い自治体の中から選ばれました。今後は大会や日本代表「マドンナジャパン」合宿などの誘致でバックアップするとともに、名称を使った「マドンナ茶」の販売や、嬉野の近くの出身で、TikTokのフォロワーが70万人を超える人気の「まつりの」こと高知中央高の女子野球選手・松本里乃さんらをアンバサダーとして、盛り上げていくといいます。

 企画書を見た同連盟の山田博子代表理事は、農作物とマドンナをかけたり、企画のオリジナリティーが際立っていたと振り返ります。「この街の規模だからできるのでしょうけれど、街中を女子野球一色になんてほかに無かったですし、自分たちの特徴を最大限生かして、女子野球と何が出来るのかよく考えていた」。ほかの理事からもおもしろいという声が相次いだといいます。

 女子野球は軟式、硬式あわせても競技人口が約2万1000人と発展途上で、九州では1997年の神村学園高等部(鹿児島)を手始めに各県で硬式チームが数を増やしていますが、佐賀県内は1つ(ザ・スパ武雄レディース)。市内の少年野球チームには女子が多いといいますが、まだ女子球界では知名度の低い嬉野市がタウン認定に動いたのは、6年前の女子野球との関わりにありました。

  • 嬉野市で事前キャンプを行った女子野球オランダ代表チーム(2014年、嬉野市提供)
  • 嬉野市で事前キャンプを行った女子野球オランダ代表チーム(2014年、嬉野市提供)

 2014年、宮崎県で第6回女子野球W杯が開催され、オランダと関係のある佐賀県は代表チームのキャンプ地として嬉野市を選定。約1週間、約30人の選手・スタッフが交流したほか、市民は宮崎まで応援に駆けつけました。

 「東京五輪のホストタウンを目指す中、はじめてのナショナルチームのキャンプだったので盛り上がりました。もともと市民はオランダに親しみがあるんです」とプロジェクトチームの中島隆二さん。市内には長崎・出島のオランダ商館医だったドイツ人のシーボルトが成分分析したとされる「シーボルトの湯」があるほか、嬉野茶がオランダ商人を通じて日本で初めて輸出された日本茶として知られるなどつながりは長く、珍しい女子野球チームも親近感をもって歓迎したのだとか。オランダ代表は16年の第7回大会(釜山)でも事前合宿地として嬉野市を利用。今回の女子野球タウン認定も「野球好きも多いので、市民に受け入れていただいています」と中島さんは話します。

  • 市民もオランダを応援した(2016年のキャンプ、嬉野市提供)
  • 市民もオランダを応援した(2016年のキャンプ、嬉野市提供)

 嬉野市の人口は減少しており、特に出産・子育て世代の女性が少ないことから、女性目線を重視した「女性が輝くまち作り」をテーマに移住や定住者を増やそうと取り組んでいます。「施設は(ほかの自治体より)劣っても、おもてなしで日本一になりましょうと言っています」(中島さん)、江戸時代から続くオランダとの縁が結んだ女子野球が、嬉野市の未来を担います。

 連盟では今後も、数か所の認定タウンを追加発表していく予定です。

1週間のキャンプで、嬉野市民らと触れあった女子野球オランダ代表(2014年8月、嬉野市提供)
嬉野市で事前キャンプを行った女子野球オランダ代表チーム(2014年、嬉野市提供)
市民もオランダを応援した(2016年のキャンプ、嬉野市提供)
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