バッハ会長、コロナワクチン接種IOC費用負担“切り札”に言及…東京五輪開催へ連携

安倍前首相(中)の首にかけられた「五輪オーダー」の記念品を見る東京五輪・パラリンピック組織委の森会長。右はIOC・バッハ会長(ロイター)
安倍前首相(中)の首にかけられた「五輪オーダー」の記念品を見る東京五輪・パラリンピック組織委の森会長。右はIOC・バッハ会長(ロイター)
首相官邸を訪れ、菅首相(右)の歓迎を受けるバッハ会長(ロイター)
首相官邸を訪れ、菅首相(右)の歓迎を受けるバッハ会長(ロイター)
五輪パラまでのスケジュール
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 新型コロナウイルス感染拡大で来夏に延期された東京五輪開催への連携のため来日している国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(66)は16日、五輪に関し、ワクチンが完成した場合は、海外の選手、関係者に来日前に接種を呼びかける方針を示した。この日は菅義偉首相(71)、小池百合子東京都知事(68)ら要人と立て続けに会談し、有観客での開催の方向性も確認。多忙なスケジュールをこなして大会の実現を内外に強くアピールした。

 昨年7月以来で、五輪延期決定後は初来日となったバッハ会長が、足を使って開催を猛アピールした。チャーター機での来日から一夜明けた16日は、菅首相との会談をスタートに都内を精力的に動き回り、夕方には五輪組織委の森喜朗会長(83)との合同会見。「9か月後に祭典が始まる。成功裏に開催するというフルコミット(確約)を表明するため来日した。成功に尽くす決意は菅首相とも共有できた。決意に疑念もない」と、力強く演説した。

 コロナは国内の感染者数も増加傾向。懐疑的な世論が減らない中、「可能な限り海外の選手、役員、関係者にはワクチンを接種してもらった上で大会に参加してもらう。NOC(各国五輪委)にあらゆる努力をしてもらいたい」と、“切り札”に言及した。参加のための義務ではないとしたが、「入手可能ならばIOCがコストをみる」と、費用も負担する考えを示した。

 これまでバッハ会長はワクチンを開催条件の上位には置いてこなかったが、各国で開発が進む現状を踏まえ、希望的な見方に変わった。各種コロナ対策をツールボックス(道具箱)と表現し、ワクチンについても、「ツールボックスに入れられる。参加者だけでなく、日本の国民を守る。訪日観光客にもワクチンを施してきてもらいたい」と、実用化の際の予防接種を呼びかけた。

 無観客の可能性は、改めて否定した。菅首相からコロナ対策の進捗(しんちょく)状況を直接伝えられ、「スタジアムに観客を入れることに確信を持てた」。具体的な削減数はプロ野球などに準じて来春に判断する方針で、「関係者としては満杯の方が喜ばしいが、最優先事項は安全な環境の提供。判断は時期尚早」として、規模、判断時期の明言は避けた。

 菅首相は会談後、「安全、安心な大会を実現するため、緊密に連携して全力で取り組んでいきたい。人類がコロナウイルスに打ち勝った証しとして、また、東日本大震災から復興した姿を世界に発信する大会として開催を実現する決意だ」と、意義を強調。森会長は「日本国民全員に対する激励の意味が込められていると思う」と、アピール行脚を歓迎した。夜には安倍前首相、森会長、小池都知事らと都内のホテルで会食し、五輪成功への思いで一致したというバッハ会長は、17日には、選手村や国立競技場を視察する予定。「世界はトンネルに入っているが、来年の大会や聖火が、トンネルの先の明かりとなると確信している」と、この日は、何度も“確信”という言葉を繰り返していた。(太田 倫)

 ◆東京五輪延期に関するIOCや組織委の方針

 ▽大会日程

 再延期や中止の議論はなく、2021年7月23日に五輪の開会式を行うと強調。バッハ会長はこの日の会見で「日本の皆さんと歩調は合っている」とした。

 ▽観客や来日する外国人観光客について

 最も重要視していることは「安全な環境を提供すること」だが、観客をどのくらいの割合で入れるかについての議論は「時期尚早」(バッハ会長)。日本政府も来春の大規模イベントの入場割合に準じるとしており、IOCも最終的には組織委などとの協議で判断する。

 ▽追加経費

 3000億円とも言われる追加経費のうち、IOCはこれまでに約700億円の負担を決めている。バッハ会長は「時間がかかる。現段階でしっかりとした数字を出すことは難しい」。

 ▽スポンサー

 ワールドワイドパートナーは14社、東京五輪パラリンピック独自のスポンサーは67社がついている。国内企業とは今年12月で契約の期限を迎えるため、大会後までの延長を依頼している。

 ◆五輪・パラリンピック延期決定からのバッハ会長の主な発言

 ▼3月30日(東京五輪を21年7月23日開幕に決定)「東京五輪は(コロナ禍という)トンネルの出口を照らす光となる」

 ▼4月12日(ドイツ紙のインタビューで延期に言及)「日本をはじめ世界中の夢を壊すことはできない」

 ▼5月16日(WHOと覚書を締結)「(東京大会)開催に向けて油断せず、忍耐強く適切な措置を取らないといけない」

 ▼5月20日(英BBCのインタビューで東京五輪の再延期はないと明言)「来夏の開催が最後の選択肢と(安倍首相から、当時)伝えられた。決断を迫られる時期が来たら、選手やWHO、日本側と相談する時間を与えてほしい」

 ▼7月(IOC理事会後の会見などで)「今はさまざまなシナリオを検討している。観客を減らすこともそのひとつ」

 ▼10月28日(韓国SBSのインタビューで)「満員の観衆が理想的だが、現実的に可能ではないようだ」

 ▼11月11日(来日直前のIOC理事会後の会見で)「中止の議論はない。日本国民に安全な五輪に向けて全力を尽くしているとのメッセージを伝えたい」

安倍前首相(中)の首にかけられた「五輪オーダー」の記念品を見る東京五輪・パラリンピック組織委の森会長。右はIOC・バッハ会長(ロイター)
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