◆秋季高校野球東京大会準決勝▽東海大菅生7―5関東一(14日・神宮)
9回を投げ切った関東一のエース・市川祐投手(2年)が安打を許したイニングは、2回と8回だけ。それでも被安打は9にのぼり、3点ずつ失った。2回に5連打、8回には3連打。東海大菅生打線を分断することが出来なかった。「5点も取ってくれたのに…。悔しいです」。最速143キロの好投手が、試合後のインタビューでは涙を流した。
東海大菅生が待っていたのは、市川が自信を持つ直球だった。ランナーが出たら真っすぐが増えるという情報を共有していた打撃陣は、好球必打で若いカウントからスイングしていった。「真っすぐを狙われていました。切れ自体も良くなかったのですが…」と市川は2回のマウンドを振り返った。
スライダー、チェンジアップを中心に組み立てた3回からは、5イニング続けて3者凡退に。しかし、3―3で迎えた8回2死一塁の場面から、またもや3連打を浴びた。「自分が感じていないところで、球の切れやコントロールが悪くなっていたのかもしれません」と市川。走者を出してからの相手の攻撃を止められなかった点について「足が速いので、それを意識してしまいました」と話した。
好投手から多くのチャンスを作るのは難しい。1本のヒットを起点に、どれだけ敵を脅かしていくか。集中力を高め、戦略通りに自分の攻撃のペースに持ち込んだ東海大菅生が、見事に「打倒・市川」を成し遂げた。