【東京六大学】元ロッテ投手の早大・小宮山監督が10季ぶりVに笑顔のち号泣 そのワケは?

インタビュー中に号泣する早大・小宮山悟監督
インタビュー中に号泣する早大・小宮山悟監督

◆東京六大学野球秋季リーグ戦最終週最終日 ▽早大3―2慶大(8日・神宮)

 早大が劇的な逆転勝ちで、15年秋以来10季ぶり46度目の優勝を決めた。元ロッテ、米大リーグ・メッツ投手の小宮山悟監督(55)は、18年1月の就任後4季目で初優勝。試合後のインタビューで「長いこと野球でメシを食ってきて、いろんな試合を見てきましたけど、きょうの試合が今までの人生で一番感動しました! 素晴らしかった!」とまくし立てた後、大粒の涙を流し、嗚咽をもらす一幕があった。

 感情をこらえきれなくなった。試合後の優勝インタビュー。冗舌に劇的な勝利を振り返っていた指揮官が、インタビュアーから、今年は1960年に繰り広げられた伝説の早慶6連戦からちょうど60年で、当時の監督で自身の恩師でもある石井連蔵氏(故人)が殿堂入りを果たした節目の年であることに触れられると、言葉に詰まった。

 マイクがむせび泣きを拾う。しばらく間を置き、やっとの思いで「石井さんの墓前にいい報告ができるので、ホッとしています」との言葉を絞り出した。

 小宮山監督の早慶6連戦にかける思いの強さは、人一倍だ。恩師の石井氏が当時の監督だったことはもちろん、マネジャーだった黒須睦男氏(故人)は義父にあたる。また、主将だった徳武定之氏(82)はコーチとして自身を支え、捕手だった野村徹氏(83)は98年から04年まで母校の監督を務めた経験を踏まえて公私にわたってアドバイスを送ってくれているからだ。

 今からちょうど2週間前、10月25日のこと。前カードの立大2回戦を終えた後の記者会見。終了間際に、小宮山監督はおもむろに早慶6連戦の話題を自ら切り出した。「今年は早慶6連戦の60周年ということで、何かの因縁めいたものを感じます」。そして「早川がこれだけのピッチャーになったのは、6連戦の安藤さん…」と言って、言葉を詰まらせた。

 安藤さんというのは、当時のエースだった安藤元博氏(故人)のこと。安藤氏は早慶6連戦で2回戦をのぞく5試合で完投。計49回を投げ抜き、伝説の立役者となっている。「僕が学生の時にグラウンドに来て、教えてもらったんですよ」。獅子奮迅の活躍を見せる今季の早川が、安藤さんに重なったのだ。

 その涙は、会見場の隣にいた早川の心を打った。「泣いている監督さんを見たのは初めて。それだけ早稲田を愛して、ご自身が4年間頑張ってきたからこそ、ああいう話をして涙を流せる。早稲田愛の強い監督さんを、最後に胴上げして卒業したいと思いました」―。

 早慶戦を目前に控え、小宮山監督はこう言っていた。「お互い無敗のまま、早慶戦で優勝をかけて戦うというのはこれ以上ない幸せ。今年は、春からコロナに泣かされ続けてきたけど、最後の最後にコロナのおかげで両校ナインは幸せなことを経験できる」。そして、こう予言した。「早川が六大学を盛り上げて、引っ張ってきてくれたので、最後にいい形でマウンドで雄たけびを上げて終わる、というのが一番いいのかな」―。

 早慶6連戦から小宮山監督を経由し、早川へ。コロナの影響で胴上げこそ自粛したが、60年の時を超え、強く、熱い思いが継承されて、新たな師弟物語が最高のフィナーレを迎えた。

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