中谷潤人、家族でつかんだ世界王座…自宅にジム、家業は閉店、全てはこの日のために

中谷の試合を観戦に訪れた(左から)父・澄人さん、母・府見子さん、弟・龍人さん(代表撮影)
中谷の試合を観戦に訪れた(左から)父・澄人さん、母・府見子さん、弟・龍人さん(代表撮影)
8回KO勝ちでWBOフライ級新王者となり、トロフィーを手に笑顔を見せる中谷潤人
8回KO勝ちでWBOフライ級新王者となり、トロフィーを手に笑顔を見せる中谷潤人

◆プロボクシング 報知新聞社後援ダイナミックグローブ・スペシャル WBO世界フライ級(50・8キロ以下)王座決定戦12回戦 〇同級3位・中谷潤人―同級1位ジーメル・マグラモ●(6日、東京・後楽園ホール)

 “愛の拳士”がついに世界の頂点だ! 前日本フライ級王者でWBO3位の中谷潤人(22)=M・T=が同級1位ジーメル・マグラモ(26)=フィリピン=を8回2分10秒KOで下し、新王者に輝いた。新型コロナウイルス感染拡大以降、国内で初めて開催された男子世界戦。コロナ禍で試合が2度延期された末につかんだ世界初挑戦のチャンスを一発でものにした。デビューからの連勝記録を伸ばした中谷の戦績は21戦全勝(16KO)。マグラモは24勝(20KO)2敗。(観衆400)

 息子が一段と大きく見えた。視線の先にいる中谷がにじんで揺れている。「思い描いていた舞台に立てただけでもすごいのに、勝ったんですから。KOは鳥肌が立ちました」と父・澄人さん。勝利の瞬間、隣の母・府見子さん(ともに44)はハンカチで目を覆った。弟・龍人さん(20)の目も真っ赤だ。

 中谷は体格差を考慮し、小学3年から始めた空手をやめ、中学1年からボクシング一本に励んだ。息子の頑張りに応えようと、両親は三重県の自宅に小さなジムを作った。10畳ほどのスペースにサンドバッグ、スピードバッグも用意した。中谷は放課後に毎日ジムで2時間、帰宅してからは、さらに2時間も練習に励んだ。プロになった後、家族は中谷のサポートをするため、三重・東員町で営んでいたお好み焼き店を閉め、家を引き払い、神奈川県に引っ越した。

 貧血で体調を崩しがちだった息子を見て、母が「栄養バランスが悪いのか」と思ったことも移住のきっかけの一つだ。大阪に日本料理の修業に出ていた龍人さんも、スポーツマッサージの腕を持っていたため、両親と合流することを決めた。

 中谷が米国修行に出る際、通っていた地元のジムをやめたことから「裏切り者」と中傷を受けたこともあった。だが、中谷ファミリーは「世界王者」になるため、強い思いで新しい道を選んだ。その選択は間違っていなかった。「人から愛されるボクサーになってほしい」と澄人さん。家族は息子に「強いボクサー」ではなく「愛される強いボクサー」になってほしいと願っている。(谷口 隆俊)

中谷の試合を観戦に訪れた(左から)父・澄人さん、母・府見子さん、弟・龍人さん(代表撮影)
8回KO勝ちでWBOフライ級新王者となり、トロフィーを手に笑顔を見せる中谷潤人
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