【五輪の友】桐生祥秀も高梨沙羅も…コロナ禍超えて歩み加速

桐生祥秀
桐生祥秀

 コロナ禍に揺れた夏季競技は、徐々に来夏への歩みを加速させつつある。先月の陸上日本選手権男子100メートルを制した桐生祥秀(日本生命)は「コロナに関係なく、桐生祥秀という名前を広めたい」。バドミントンの国際大会再開初戦、デンマークOPで4強入りした西本拳太(岐阜県協会)も「自分の最善は(遠征して)海外で試合ができると示すこと。とても大きな一歩」と力を込めた。五輪延期や練習の制約を反骨心に変え、成長につなげる姿は来夏への期待を膨らませた。

 秋が深まり、22年北京五輪を目指す冬季競技もまた、再出発の時を迎えた。スキージャンプの今季初戦、全日本選手権(白馬)では、男子の佐藤幸椰(雪印メグミルク)が6大会ぶりにノーマルヒル、ラージヒル2冠。「(自粛期間中は)気が狂いそうだったけど、(五輪延期の)夏季競技の方が苦しいんだろうなと思った」。東京を目指す選手の努力が、少なからず刺激を与えていたようだ。女子は、18年平昌五輪銅の高梨沙羅(クラレ)が史上最多6度目V。「やっと戻ってこられた」と再開戦の実感を込めた。

 自然を相手にする選手は、時として不条理に見舞われる。6年前。金メダル確実と言われ、4位に終わったソチ五輪の沙羅がそうだった。2本とも不利な追い風に当たり、表彰台の3人と明暗が分かれた。改めて公式記録を見返しても、特に1回目は30人中で最も強い追い風に見舞われた。それでも敗因は「自分の弱さ」。不運や不条理からも自らの成長の材料を探れたからこそ、平昌で雪辱の銅。さらにW杯最多57勝、通算100度の表彰台―。6年かけて沙羅が証明してきた「強さ」が詰まっている。

 今後は、マラソンや室内競技の選手たちも続々と再開戦を迎えていく。コロナ禍を経て、見違えるような成長を遂げた選手がいるかもしれない。環境に責任を求めず、自らを省みて成長の糧を得る。来夏に向けて、多くの選手が示してくれるであろう一流の姿は、私たち一般人にとってもきっと最高のお手本になる。

 ◆細野 友司(ほその・ゆうじ)1988年10月25日、千葉・八千代市生まれ。32歳。早大から2011年入社。サッカー担当を経て、15年から五輪競技担当。16年リオ五輪、18年平昌五輪を現地取材した。夏季競技は陸上、バドミントン、重量挙げなどを担当し、冬季競技はジャンプを始めとしたノルディックスキーを担当。

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