カヌー・羽根田卓也、コロナ禍の渡欧は目標を果たせず帰国も学ぶことは多く…リレーコラム

羽根田卓也
羽根田卓也

 先月、スロベニアでのW杯に出場し、約8か月ぶりとなる実戦をこなしてきました。本来は今月のフランスでのW杯にもエントリーしていたのですが、現地では新型コロナの感染が再び広がっており、やむなく帰国を決めました。

 9月の渡欧直後から、拠点とするスロバキアも含め、近隣国でも感染者数がどんどん増え、毎日のように「過去最高」と報じられていました。実際、大会中も、選手やスタッフの中に陽性反応が出たという情報がありました。当の本人がいなくても、濃厚接触者がいるかもしれないという中、ウイルスへの緊張感、怖さがどうしてもありました。無理をして滞在を続けて感染するわけにもいかず、次戦を回避する選択に至ったのです。

 試合に触れ、雰囲気を味わっておくというのが主な遠征の目的でしたが、ある意味では非常に大きな収穫がありました。

 今回は試合を楽しむ余裕もないくらい、コーチとともに、普段の生活からコロナに気を使っていました。ただでさえ試合は重圧があり、精神状態、自分のペースを保ちづらいもの。そこに、ウイルスという余計に考えなければいけない要素が増えたわけです。

 自分も軽いぜん息持ちですが、症状が重い方であれば、感染は命にも関わりかねません。スポーツは限界まで体の機能を高めてパフォーマンスを競うものですが、少しでも細胞が傷つけられるだけで、影響は大きいでしょう。見えない脅威にさらされ、試合どころじゃないという精神状態になる人も、たくさんいるのではないでしょうか。

 五輪ではウイルスに気を配りながら力を発揮する難しさは必ず出てくると思いますし、それが今までにない勝敗を分ける要因になる気がします。選手は試合に臨むにあたり平等にストレスを受けるものです。メンタルの強さやずぶとさ。いかに自分のペースを守り、なすべきことに集中できるか。こういった勝つための条件が、さらに強く求められるようになっただけ、とも言えるでしょう。来夏を見据えた時、コロナ禍のもとで試合に臨む難しさを身にしみて感じられたことは、大きな経験値であったと思います。

 ◆羽根田 卓也(はねだ・たくや)1987年7月17日、愛知県生まれ。33歳。小学3年でカヌーを始め、杜若高を卒業後、単身スロバキアに渡る。2009年に国立コメニウス大学に進学し、同大学院を卒業。16年リオ五輪のカヌー・スラローム男子カナディアンシングルで銅メダルを獲得。175センチ、70キロ。ミキハウス所属。

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