レスリングとフェンシング、逆境に打ち勝ち、メダルを取った…カメラマンがファインダー越しに見た2012年ロンドン五輪

スシル・クマール(左)を豪快に投げる米満達弘(カメラ・石田 順平)
スシル・クマール(左)を豪快に投げる米満達弘(カメラ・石田 順平)

 スポーツ報知のカメラマンが、五輪の名場面を振り返る企画の第6回は2012年ロンドン大会。

 第1ピリオド開始直前から、観客席は「インディア! インディア!」の大合唱だった。多くのインド国旗が揺れ、2010年に同国初の世界選手権金メダルを獲得したクマールへの応援は熱気にあふれていた。

 8月12日、五輪最終日に行われたレスリング男子フリースタイル66キロ級決勝。米満達弘にとって、アウェーの雰囲気で始まった。それでも最初のピリオドを奪い、第2ピリオドの20秒過ぎにはもぐり込むような低いタックル。クマールの両足を抱え上げ、そのままマットに体を突き刺し、ボディースラムのような大技を決めた。わずか数秒の出来事。私はこの時、両選手がファインダーから切れないことだけ心がけ、無心にシャッターを切った。

 号外対応もあり、カメラで画像確認する余裕はなかった。パソコンで画像を確認するまでは不安だったが、写真を見て安どした。試合直前、取材現場を取り仕切るフォトマネジャーに、ポジションの変更を指示されたことが奏功した。米満とクマールの対照的な姿を一枚の写真に収めることができた。

 男子では1988年ソウル大会以来、24年ぶりの金メダルとなり、さらに日本選手団として夏季大会400個目のメダル。記録と記憶に残る金メダルだった。

  • ドイツ戦 延長戦を制して決勝進出を決めて喜ぶ太田(中)ら日本チーム(カメラ・石田 順平)
  • ドイツ戦 延長戦を制して決勝進出を決めて喜ぶ太田(中)ら日本チーム(カメラ・石田 順平)

 会社から連絡が入り、男子卓球の団体戦から急きょ、フェンシングの会場に向かった。そこでは男子フルーレ団体戦の日本とドイツの準決勝が繰り広げられていた。急いで行ったはいいが、フェンシング取材は未経験。決勝進出なら団体初のメダルが確定する大一番。どんどん鼓動が高まった。

 肉眼で確認することもできないような速さでサーベルの先は動いていた。サーベル同士が重なる度に鳴る金属音は、新鮮な感覚ではあった。日本が3点リードで迎えた最終決戦。エースの太田雄貴は、2010年世界選手権覇者のP・ヨピッヒと大接戦の末、1分間の延長サドンデスに突入。残り47秒、ともに突き合って両者のランプが点灯した。

 撮影した画像を見てもサーベルの動きに反応しきれず、勝負が決まったシーンは判別できなかった。3度のビデオ判定の結果、太田にポイントが認められた。太田を中心に喜びを爆発させた日本チームの選手たちを見ていると、日本から遠く離れたロンドンでサーベルを手にした侍たちが誇らしかった。

(石田 順平)

スシル・クマール(左)を豪快に投げる米満達弘(カメラ・石田 順平)
ドイツ戦 延長戦を制して決勝進出を決めて喜ぶ太田(中)ら日本チーム(カメラ・石田 順平)
すべての写真を見る 2枚

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請