【有森裕子の本音】スポーツ界もっと専門家の参加を

有森裕子さん
有森裕子さん

 先月は17日に年明けの箱根駅伝の予選会が無観客で開催されました。25日には全日本大学女子駅伝が仙台市で行われましたが、こちらも新型コロナウイルスの感染防止のため沿道の応援自粛が呼び掛けられるなど、さまざまな制約下での開催となりました。とはいえ、現状の中でまず大会ができたというのは、喜ばしいことだといえます。

 少し前までは、「駅伝大会なんてとんでもない」という考え方が、誰の頭の中にもあったのではないでしょうか。そこから一歩進んで、「きちんと準備や対策を取れば、開催できる」という段階まで来ることができました。優勝した名城大の選手たちも「まずは大会を開催していただけたことに感謝します」とインタビューの冒頭に話しているのも印象的でした。

 大会主催者側は感染拡大防止のための専門家にスタッフとして参加してもらう。そして意見を聞くことで、少しでも安心安全に開催を実現してゆく。今回は新型コロナのためという特殊な事情があったかもしれませんが、この「外部から専門的な知識を持つ人材を取り入れる」という大会組織作りは、今後のスポーツ界にとっては必要になっていくと感じています。

 スポーツの組織や現場はこれまで、元アスリートを中心に形成、運営されがちで、そのため何か社会的な問題が出た場合も自分たちスポーツ界の持つ知識や経験の中だけで判断解決しようとする傾向になりがちでした。ただ、それゆえに一般の社会情勢に感覚的にコミットできていなかったこともあったように思います。

 それが今回のような転機に、より外部の人材に参加してもらい、情報や意見を取り入れることで、スポーツの世界と社会との距離が近づくことになり、これまで以上にアスリートの発信が社会的に意義あるものとして説得力が増していくと考えています。(女子マラソン五輪メダリスト)

社会

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