竹内まりや、夫・山下達郎は「大親友」…デビュー42年で初の映像商品解禁 コロナ禍で決心「お手元で観てもらおう」 

ライブや楽曲制作について語った竹内まりや
ライブや楽曲制作について語った竹内まりや

 シンガー・ソングライターの竹内まりや(65)が1978年のデビュー以来、自身初となる映像商品「souvenir the movie~MARIYA TAKEUCHI Theater Live~(Special Edition)」を18日に発売する。2000年、10年、14年のライブの模様をまとめた映画のソフト化。結婚後は極めて希少になったライブについてや、夫でシンガー・ソングライターの山下達郎(67)への思いなどを大いに語った。(水野 佑紀)

 ファンにとってはちょっとした“事件”かもしれない。竹内がデビュー42年にして初めて映像商品を解禁した。

 「『映画はいつDVD化されるのか』『劇場上映されても小さな町だと観(み)られない』といった要望をいただいていた最中に、コロナが来てしまった。私自身も自粛期間に洋楽のライブやNetflixで映画を深夜まで観て楽しんでいたので、実際のライブが中止や延期されている今、皆さんのお手元で自由な時間に映像を観てもらおうと決心しました。ライブをほとんどやらないがゆえにリリースの意義はあるのではないかと」

 が、ソフト化には問題があった。バンドマスターを務める山下の姿や声、演奏が映るということだ。山下も映像作品を発売しないポリシーをデビュー以来貫いている。「まずは達郎に映像の許可を取らないといけない。でも、『いいよ。自分はここでは裏方だから』と快諾してくれました。主役を完全に食って歌っていますけど(笑い)」。特に「プラスティック・ラブ」での山下のロングトーンは圧倒的だ。「達郎は『あの日しかできなかった』と言っていましたが、奇跡のようなロングトーン」

 1982年に結婚したのを機にステージから離れていたが、子育ても落ち着いた2000年、ラジオ局の開局記念コンサートへの出演依頼を受けた。「ライブから遠ざかって、恐怖や不安の方が大きかったですが、バンマスが達郎ということで心が決まった。いざ、私が歌えなくなってボロボロになってもきっと彼が支えてくれるだろうという救いがあったので、一歩が踏み出せました」

 00年7月11日、東京・日本武道館。観客約8000人の大歓声を浴びながら、18年ぶりにステージに立った。「武道館を狭く感じたんですよ。もっと巨大なイメージがありましたが、皆さんのすごく温かい拍手の中にいたせいか。私とともに歳(とし)を重ねて、40~50代になったサラリーマンの方が『不思議なピーチパイ』を手拍子しながら一緒に歌っているのを見ると、グッときましたね。『SEPTEMBER』の時は、客電がついてお客さんの顔がよく見えたので、お互いに手を振り合ったりして。長年のブランクの末、ファンの皆さんとやっと直に会えたことを実感しました」

  • 「souvenir the movie~MARIYA TAKEUCHI Theater Live~(Special Edition)」のジャケット

    「souvenir the movie~MARIYA TAKEUCHI Theater Live~(Special Edition)」のジャケット

 10年もコンサートに出演し、14年には33年ぶりの全国ツアーを開催したが、常に山下の活動を優先しながらステージに立ってきた。

 「彼の音楽活動を楽しみにしているんです。自分の活動でそれが妨げられるのは不本意で。私は片手間で音楽をやっているつもりはないけれど、メインはあくまで達郎。そういう人と音楽を一緒に作れることが誇りです。なかなか願ってもできないことですが、たまたま私生活上のパートナーが音楽仲間であり、師であることは幸運でした」

 今回収録されているインタビューで、竹内は山下のことを「大親友」と表現している。

 「単純に話をしていて面白い。例えば『テイラー・スウィフトのニューアルバムが意外といいんだよね』とか、いわゆる雑多なよもやま話ですけど。一緒にいると話が尽きない。明け方近くまで話し続けて、なんでこんな話になったんだっけ?って。その生活パターンは新婚時代からあんまり変わらないですね」

 慶大在学中、音楽サークルの先輩だった杉真理のバンドのコーラスを務めたことがきっかけで、78年にシングル「戻っておいで・私の時間」でデビュー。愛らしいルックスで、当時はアイドル的な仕事も多かった。

 「私は音楽をやりたいけど、新人賞レースとか芸能人運動会とか芸能界的な活動を続けることに悩みました。同じような新人歌手の仲間に賞レースの楽屋で『あなたはいくつ年サバ読んでるの?』なんて聞かれたり、『嫌だよね、また今日も競争するなんて』とか愚痴ったりし合って。新人同士の絆は結構ありましたよ(笑い)」

 そんな時に出会ったのが、同じRCAレーベルの先輩、山下だった。「初対面はお互いに悪印象だった。無愛想な人だなあと。向こうも、趣味半分で音楽をやろうとしているお気軽な学生歌手って思ってたんじゃないかな」。しかし、そのうち、活動のあり方に悩むたびに相談をすると、「的確なアドバイスをし励ましてくれました。彼が返してくれる言葉に信頼感が増し、この人なら本当に頼れると思うようになっていきました」。

  • ※Disc2は映画未公開のライブ映像、ミュージックビデオ集などを収録。付属のブックレットでは山下との対談を収録

    ※Disc2は映画未公開のライブ映像、ミュージックビデオ集などを収録。付属のブックレットでは山下との対談を収録

 自然の流れで結婚も意識した。「(山口)百恵ちゃんと『ザ・ベストテン』の楽屋でご一緒したとき『あともう少しで引退です』とおっしゃったのを聞いて、潔いなと感じました。私の中にも、当時の活動への葛藤や自分の時間がないことへの悩みを解決するためには、ここらで結婚してすべてをお休みしたいという気持ちがあったんです」

 27歳で結婚し、ずっと欲しかった自由な時間を手に入れた。この選択が、竹内の職業作曲家としての才能を開花させる。

 「スーパーに行って、時間をかけて食材を選べるような日常の小さなことが本当にうれしかった。本屋さんに行って立ち読みしたり、買った本を深夜まで読んでいると、自然に曲が書きたくなるんですね。当然のことですが、書きたくなる自分になるには、自由な時間があれば良いわけで。ずっと家にいるということは、私の創作意欲を高めるためには実にいい機会でした。コロナの自粛期間でもスーパーに行く以外、外に出なかったのですが、私にとってはごくごく普通でした。曲も6曲くらい書いたかな」

 「曲を制作している時が一番楽しい。80歳くらいになって自分が歌うことができなくなっても、曲だけは書き続けたい」と穏やかな表情を浮かべる。「10分で1コーラスできちゃう時もあるし、2か月たってもまとまらない時もある。『駅』はすごく早かった。メロディーがすぐにできたので、後は(中森)明菜ちゃんが歌うにふさわしい歌詞をつけるために、彼女のいろんな写真をテーブルに並べて、『昔の恋人との遭遇』『雨の駅』というようなイメージを浮かべながら書いていきました」

 コロナ禍で竹内も山下もライブの中止を余儀なくされた。夫婦の間でも、今後の音楽のあり方を語り合うことが増えたという。「達郎がよく言うのは、音楽が聴かれなくなる日は絶対にこないということ。ライブで演奏を聴き、生の歌を楽しむという行為はこれからもなくならない。私もそう信じています。人が音楽を求める気持ちは、どんなに時代が変わっても途絶えることがないはずです。自分たちの音楽が、そんなリスナーの期待に応えていけたらいいなと願っています」。言葉の節々に熱を込めた。

 ◆「プラスティック・ラブ」海外音楽ファンが注目

 〇…ここ数年、海外の音楽ファンの間で1980年代の「ジャパニーズ・シティ・ポップ」が注目を集めている。そのブームの代表的な楽曲が84年に発表した「プラスティック・ラブ」だ。「達郎が歌うようなダンサブルな16ビートの曲をどうしても書きたくて、休業中に作った曲。そのデモテープを彼が気に入ってすてきな編曲をしてくれた」。洗練された都会的なサウンドは少しも古びない。「まさか40年後にこうなるとは。でも、それは打ち込みじゃなくて、本当のドラムとベースの音の力だと思う」と語った。

 ◆「けんかをやめて」筒美京平さんが絶賛

 〇…10月7日に亡くなった作曲家・筒美京平さん(享年80)とは仕事上の接点はなかったが、忘れられないエピソードがある。82年9月、山下とニューヨークを旅行した際に共通の友人を通して現地にいた筒美さんと会食し、その後2人でデパートへ買い物にも行った。「カフェでお茶でも飲みましょうかって座った時に先生が、河合奈保子ちゃんの『けんかをやめて』という曲が今週のベストテンに入っているけど、あれはすごくいい曲だねって。結婚して初めて他人に提供したベストテン・ヒット曲だったので、あの言葉は今でも忘れられない」と懐かしそうに振り返った。

 ◆竹内 まりや(たけうち・まりや)1955年3月20日、島根県生まれ。65歳。78年、デビュー。79年、日本レコード大賞新人賞受賞。82年、山下達郎と結婚。結婚後は作詞・作曲家として薬師丸ひろ子の「元気を出して」(84年)など多数を提供。94年、アルバム「Impressions」が300万枚超えの大ヒット。2019年、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞し、紅白歌合戦に初出場した。

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※Disc2は映画未公開のライブ映像、ミュージックビデオ集などを収録。付属のブックレットでは山下との対談を収録
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