【ソフトバンク】特別な優勝…3年ぶり19度目 工藤監督、胴上げなきゴールも「CS1つも落とさない、日本Sでも勝つ」

優勝を決めたソフトバンクナインがグラウンドに円陣を作り、祝福の紙吹雪が舞った(カメラ・保井 秀則)
優勝を決めたソフトバンクナインがグラウンドに円陣を作り、祝福の紙吹雪が舞った(カメラ・保井 秀則)
ファンの声援に応える工藤監督
ファンの声援に応える工藤監督
ソフトバンク怒とうの10月18勝4敗1分け
ソフトバンク怒とうの10月18勝4敗1分け
ソフトバンクVへの軌跡
ソフトバンクVへの軌跡

◆パ・リーグ ソフトバンク5―1ロッテ(27日・福岡ペイペイドーム)

 コロナ禍のシーズンをソフトバンクが制した。マジック2で迎えた2位・ロッテとの直接対決に勝利し、3年ぶり19度目のパ・リーグ優勝(前身の南海、ダイエー含む)。1リーグ時代を含めると21度目となった。工藤監督はナインの不安を取り除くことに腐心し、時には采配面で鬼にもなり、就任6年目で3度目のリーグ制覇。11月14日から2位チームと4試合制(アドバンテージ1勝)のクライマックスシリーズに臨む。

 工藤監督を筆頭にハイタッチをした後、マウンドを中心に歓喜の輪を作った。新型コロナウイルスに苦しめられた1年のハイライトに、いつもの胴上げはなかった。特別なシーズンのペナント制覇。中村晃選手会長の音頭で、いまだ観客の上限が2万人に制限されているペイペイDで1万9988人のファンと3度、万歳した。悲願の3年ぶりのリーグV奪回を地元で決めた。「フワフワした気持ち。みんなと顔を合わせて、勝ったんだなという自覚と…ホッとしました」。優勝経験豊富な指揮官でも夢見心地だった。

 怒とうの勢いで頂点に駆け上がった。10月は12連勝を含む18勝。21日にマジック(M)8を点灯させると、わずか6日でV。先に早々とMを点灯させていた巨人を抜き去った。ラストスパートの原動力となったのは、ミスしても信念で使い続けた「新しい力」。代表例が、昨年は代走のスペシャリストだった育成出身の周東だ。

 9月中旬から1番に定着すると、10月は打率3割1分9厘。この日、プロ野球タイ記録に王手をかける10試合連続盗塁を決めるなど、月間20盗塁と覚醒した。柳田に続く打点チーム2位の栗原、育成契約から中継ぎエースに成長したモイネロら、工藤チルドレンが実りの秋をもたらした。

 一方で冷徹にも見える、後悔のないタクトも振った。複数ポジションを守れない内川やバレンティンは、2軍調整が続いた。松田宣も極度の不振に陥ったため、連続試合出場が815試合でストップ。勝負所では、ちゅうちょなく代打も送った。リーグV奪回のために、心を鬼にした。

 昨季まで3年連続でチームを日本一に導きながら、心の底からは笑えなかった。「おめでとう」の祝福の声とともに、必ず言われた。「来年は優勝して日本一」。過去2年は2位からの“下克上”で「V逸」の2文字はつきまとった。「多少は褒めてよ…」は本音だ。ただ、常勝軍団の監督としての宿命は、15年にバトンを受け継いだ時から理解していた。

 ウィズコロナの難しいシーズンを制した。「もしもし工藤です」―。緊急事態宣言下での分離練習期間。ペイペイDで練習し、直接顔を合わせていた投手以外の選手に“直電話”を繰り返した。「本当に開幕するのか」などの不安を抱えていたナインとのコミュニケーションを大切にした。課題や練習方法を伝授するだけでなく、選手の家族らの体調面も心配するなど親身になり、相談にも乗った。

 昨年までなら、遠征先でコーチらと焼き肉店に出かけるなどでリフレッシュしていたが、今年はなし。開幕後もホテルの自室にこもり、映像やデータとにらめっこした。福岡の自宅では、主に料理のデリバリーサービス「ウーバーイーツ」を自ら注文した。「作って人に食べてもらうのが好き」と、少人数でのバーベキュー、たこ焼きのプチパーティーは、数少ない癒やしの時間だった。

 完全日本一へ、1つ目の大きなハードルは越えた。「勝つことしか考えてません。CSを1つも落とさないつもりで勝ち、日本シリーズでも勝ちたい」。過去にV9の巨人にしか成し遂げられていない4年連続の日本一へ。工藤監督の戦いは、まだ道半ばだ。(戸田 和彦)

試合詳細
優勝を決めたソフトバンクナインがグラウンドに円陣を作り、祝福の紙吹雪が舞った(カメラ・保井 秀則)
ファンの声援に応える工藤監督
ソフトバンク怒とうの10月18勝4敗1分け
ソフトバンクVへの軌跡
すべての写真を見る 4枚

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請