【箱根への道】駿河台大、全員自己最速でも夢やぶれギラギラ…予選会15位、翌日即再スタート

関東学生連合入りが濃厚な町田(左)は真剣な表情で今井の激励に聞き入った
関東学生連合入りが濃厚な町田(左)は真剣な表情で今井の激励に聞き入った

 46校が参加した第97回箱根駅伝予選会は17日、東京・陸自立川駐屯地内周回コースで行われ、圧倒的なスピードでトップ通過の順大をはじめ上位10校が本戦出場権を獲得した。一方で36校が敗退。箱根駅伝史に残る伝説的ランナーの徳本一善監督(41)が率いる駿河台大は15位に終わり、悲願の初出場を逃した。「元中学校体育教師」の30歳・今井隆生(3年)、関東学生連合チーム入りが濃厚な町田康誠(2年)らは悔しさを糧に、2022年の第98回箱根駅伝を目指して早くも再スタートを切った。

 “箱根への道”は想像以上に遠かった。

 駿河台大は出場12選手全員がハーフマラソン自己ベスト(初出場含む)で走破し、チーム記録は10時間38分5秒。前回より20分39秒も縮めたが、平たんなコースでの超高速レースの流れに乗れず、15位に敗れた。通過ラインの10位・専大とは4分6秒の大差。「力負けです。他校が強かった」と徳本監督は潔く認めた。

 前回は通過ラインと1分58秒差の12位敗退。それから1年、悲願の初出場を目指し練習を積んだが、順位は下がった。主将の石山大輝(4年)は「絶対に(初出場を)決めるつもりでしたが…。これほどの高速レースは予想できなかった」と無念の表情で話した。

 ただ、このまま終わるつもりはない。「3年生以下の選手は落ち込んでいるかと思ったら、『もっと練習をやらなければいけない』と目をギラギラさせていた」と石山はレース後のミーティングの様子を明かした。

  • 箱根駅伝予選会を走る駿河台大の選手ら

    箱根駅伝予選会を走る駿河台大の選手ら

 予選会の翌18日に早速、1年後に向けて走り出した。予選会不出場の選手が1万メートルと5000メートルのタイムトライアルを敢行。徳本監督自らも走り、一緒に汗を流した。5000メートルでは高田海成(4年)が非公認ながら自己ベストを約29秒も更新する14分35秒でトップ。最上級生の意地を見せ、3年生以下に刺激を与えた。高田をはじめ自己ベストをマークする選手が続出。予選会に出場した選手は各自練習後、タイムトライアルに臨む選手を声をからして応援した。

 「一番の課題は選手層が薄いこと。私は入学後、予選会メンバーから外れるかもしれない、と思ったことは一度もない。それはチームとして良くない。この中からメンバー争いに食い込む選手が多く出てこなければチームは成長できない。もちろん私もメンバーの座を譲るつもりはありませんけど」。30歳の学生ランナー・今井はタイムトライアルで力走した選手に温かい視線を注ぎながら話した。

 今井自身、今回の敗戦でより強い覚悟を持った。3月まで埼玉・飯能市内の中学校で体育教師を務めていたが「もっと生徒に寄り添える先生になるため」に教員の自己啓発等休業制度を利用し、今春、駿河台大3年生に編入。心理学を学びながら高校時代からの夢だった箱根駅伝出場へ挑戦している。予選会では30歳にして自己ベストを1分25秒も縮める1時間4分11秒で走破。それでも満足していない。「来年、あと30秒は縮めたい」ときっぱり話す。

 来年の予選会は31歳で迎える。「挑戦することに年齢は関係ありません」と明言。一方で、箱根駅伝出場への挑戦には非情のリミットがあることを痛いほど理解している。「私の競技生活はあと1年。箱根駅伝に挑戦できるのもあと1回だけ。力を絞り出します」と決意を明かす。“オールドルーキー”は早くも“ラストシーズン”に突入した。

 期待株はチーム日本人トップで全体59位と健闘した町田だ。予選会敗退校の選手で編成される関東学生連合チームに6番手として選出されることが濃厚。「3区か4区を走りたい。ただ出場するだけではなく、駿河台大の選手として爪痕を残したい」と意欲的に話す。今井は大舞台に臨む町田に「貴重な経験をチームに持ち帰ってほしい」と期待を込めて話した。

 法大時代、箱根駅伝で区間賞も途中棄権も経験した徳本監督は箱根駅伝の素晴らしさも厳しさも知る。「今回、4年生が力を発揮できなかった。石山は主将としてチームをまとめようと頑張り過ぎた。そこは申し訳なく思う。今後、選手全員の意識をもっと高めて最上級生の負担を減らすようにしなければいけない。今回、チーム上位10人のうち4年生は1人だけ。それは反省点でもあるし、次回につながるとも言える。来年こそ予選会を突破します」。指揮官は冷静にチームの課題と可能性を語った。

  • 予選会後に厳しい表情を浮かべる駿河台大の徳本一善監督

    予選会後に厳しい表情を浮かべる駿河台大の徳本一善監督

 箱根路を走ることなく卒業することになった石山は「負けたけど、初めて本気で勝負した経験は来季につながると思う。卒業するまで、できる限り後輩をサポートします」と夢を後輩に託した。“箱根への道”は確かに遠い。それでも駿河台大は走ることをやめない。(竹内 達朗)

関東学生連合入りが濃厚な町田(左)は真剣な表情で今井の激励に聞き入った
箱根駅伝予選会を走る駿河台大の選手ら
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