【菊花賞】コントレイル無敗3冠へ 前田幸治代表「私たちの想像の遥か先をゆく馬」

18日のコントレイルは栗東・坂路を楽に駆け上がった
18日のコントレイルは栗東・坂路を楽に駆け上がった

 秋のG1シリーズ第3弾、クラシック最終戦の菊花賞(10月25日、京都競馬場・芝3000メートル)で注目を一身に集めるのは、史上3頭目の無敗の3冠がかかるコントレイル。同馬を生産したオーナーブリーダー、ノースヒルズの前田幸治代表が3冠への夢、可能性などをたっぷり語った。無敗で3冠馬となった父ディープインパクトと同じ道を進むか注目が集まる。【取材・内尾 篤嗣】=19日朝に配信した記事のロングバージョン=

 ―菊花賞ではシンボリルドルフ、ディープインパクトに続く、史上3頭目の無敗3冠がかかります。目標に掲げていたことが目前となりました。

 「150年を超える日本近代競馬史の中で、3冠馬は7頭しか誕生していません。無敗どころか3冠自体が、大変な偉業であるわけですが、この偉業に臨む挑戦権をコントレイルは得ています。皐月賞(2000メートル)、ダービー(2400メートル)、菊花賞(3000メートル)と、1000メートルも距離の異なるレースを走るわけですが、これまでの6戦を経てコントレイルなら楽々とやってのけるのでは、とさえ思ってしまいます。それほどまでにコントレイルは私たちの想像の遥か先をゆく馬だと思います。無敗の3冠馬となれば、日本競馬史にさんぜんと名を刻むことができます。公私ともに親交の深い福永祐一騎手が、『ずっとスターホースと巡り合いたいと思っていた』と騎手としての夢を語っていましたが、私も弟(前田晋二オーナー)も同じ夢を生産者として、馬主としても抱いています。矢作調教師も同じ気持ちだと思いますので、『チーム・コントレイル』として、このビッグチャンスをつかみたいと思っています」

 ―秋初戦の神戸新聞杯は馬なりで圧勝でした。どのような感想を持ちましたか?

 「大山ヒルズ(鳥取・伯耆町)で夏を無事に過ごし、栗東に返すことができました。トレセンでも順調に調整できていたので、コントレイルの走りさえ見せてくれれば、おのずと結果はついてくると信じてはいましたが、秋の初戦ということで、無事にレースを終えてほしいと思っていました。道中は包まれる形になりましたが、折り合いはついていましたし、リズムさえ崩さなければ大丈夫と思って見ていました。直線を向いて、わずかに開いた隙間からスッと抜け出した時に、『勝った』と思いましたね。そこからもほとんど追われることなく、悠々と走っているように見えました。レース展開も自在で、切れる脚もあるので、これは菊花賞に向けて、また大きな収穫を得たなと感じました」

 ―前田代表が見て、春と比べてコントレイルがたくましくなったと思う点は?

 「幅が出て馬体は少し大きくなっていると思いますが、シルエットと申しますか、フォルム自体はコントレイルらしいスラっとした美しい形を維持しています。それでいて、筋肉のバランスはさらに良化し、トモ(後肢)の使い方も随分と上手くなりました。夏場の成長で馬体重が大きく増加する馬もいますが、このくらいの体重が適正なんだと思います。精神面の落ち着きも増して、折り合いもつきますし、鞍上の指示にも瞬時に反応できますから、距離への不安も全くありません」

 ―菊花賞の後のレースプランはどうでしょうか?

 「何事もコントレイルの体調を第一にして、矢作師と相談して決めたいと思います。古馬とのレースは未経験ですが、強豪がひしめく中で、どのような走りができるのか、見てみたい気持ちはあります。態勢が整えば挑戦したいと思いますが、今はまだ確定的なお話はできかねます」

 ―コントレイルで成し遂げたい夢などがあれば教えてください。

 「(芝G1を8勝という)『8冠の壁』を超えたいという目標はひとつに挙げられますね。7冠馬は7頭(※)誕生していますが、無敗の3冠馬でもある皇帝シンボリルドルフ、英雄ディープインパクトの両馬でさえも到達できなかった域を、コントレイルが切り開いてくれたらうれしいです」

 ―コロナ禍のため不透明な状況ですが来年、海外遠征をするとしたら挑戦したいレースなどは。

 「海外遠征については、どのレースをというほどまでには現時点では考えていません。欧米、ドバイ、香港、豪州など、世界には取りたいレースがたくさんありますけれど、コントレイルと一戦一戦経ていくなかで、適性やチャンスがあれば、その時に考えればいいことだと思っています。今は国内のレースに集中していきたいです」

 ―昨年、世を去ったディープインパクト産駒の最高傑作への道を着々と歩んでいます。そのあたりの期待について教えていただけたら。

 「ディープインパクトは、『近代競馬の最高傑作』とも称された、揺るぎないスーパースターホースです。日本競馬史はサンデーサイレンス、ディープインパクトという2頭の登場で、大きく塗り替えられたと言って過言ではありません。サンデーサイレンスが亡くなった2002年に、ディープインパクトは誕生しました。ディープは競走馬としての活躍以上に種牡馬としてもさんぜんたる成績を残しています。そのディープインパクトが亡くなった2019年にコントレイルはデビューしました。くしくも時代の転換期を示しているようにも思えます。コントレイルは競走馬として、まだまだ偉大なる父を追いかける段階ですが、『ディープインパクトの最高傑作』となる可能性は持っていると思います」

 ―ノースヒルズのディープインパクト産駒といえば、2013年のダービー馬で現在、種牡馬として活躍しているキズナが思い浮かびます。コントレイルとの比較は。

 「キズナが種牡馬としてディープの後継を目指しているところですが、馬体や走り方などはコントレイルの方が父に似ていますね。サンデーサイレンス、ディープインパクトと日本競馬をより高みへと引き上げた2頭の血を継ぐ馬として、コントレイルが競走馬としても将来、種牡馬としても新たな時代を生み出してくれたなら、オーナーブリーダーとして、これほどの誉れはないと思います」

 ―最後にファンに向けてのメッセージをお願いします。

 「矢作調教師が『コントレイルは人智を超える馬』とたびたびおっしゃっていましたが、本当にその通りで私たちに見せてくれる夢は、まだずっとずっと先に広がっているんだろうと感じさせてくれています。これほどまでに、夢や期待、感動や興奮を覚えさせてくれる馬に出会えたことは、本当に幸運であり光栄なことだと思っています。コントレイルがより強く、さらなる高みへと昇っていけるように、皆様からも力強いご声援を、よろしくお願いいたします」

 ◆前田 幸治(まえだ・こうじ) 奈良県吉野郡生まれ。アイテック株式会社代表取締役会長。趣味は日本画鑑賞、読書。生産馬で日本ダービーを3勝。13年キズナ、14年ワンアンドオンリーで連覇し、今年もコントレイルでV。他にもファレノプシス、ヘヴンリーロマンス、アーネストリー、トランセンドなど活躍馬は多数。ノースヒルズグループでは重賞通算158勝(うちG1は34勝)。

 ※芝G1を7勝した日本馬は、グレード制導入の1984年以降、海外を含み、シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、ジェンティルドンナ、キタサンブラック、アーモンドアイの7頭。8勝した馬はいない。

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