【駅ペン】無観客の箱根予選会…30年前の大井ふ頭を思い出した

箱根駅伝予選会でスタートする各校の選手ら
箱根駅伝予選会でスタートする各校の選手ら
2019年までと2020年の箱根駅伝予選会コース
2019年までと2020年の箱根駅伝予選会コース

◆報知新聞社後援 第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)予選会(17日、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地内周回コース=21・0975キロ)

 無観客のひっそりとした予選会をテレビ観戦しながら、30年ほど前のことを思い出した。

 当時、低迷期の東洋大で選手だった私は4年連続で予選会に出場した。コースは東京・大井ふ頭の周回コース。大きな倉庫が並ぶ休日のふ頭には誰もいない。最寄りの東京モノレール大井競馬場前駅から2キロ弱も離れたゴールのみなとが丘ふ頭公園にも関係者が訪れる程度だった。

 まさに無観客。昔の予選会はそれが当たり前だった。コースが立川に移った2000年以降、予選会にも年々、観客が増え、近年では本戦のような盛り上がりを見せていた。予選会を最終目標とする選手もいるので、それはそれで歓迎すべきことだが、大井ふ頭の寂寥(せきりょう)感漂う予選会を知る者として今昔の感があった。

 数年前、予選会の会場で取材していた関東学生連盟の青葉昌幸前会長(78)=現日大監督=が、大観衆を見渡しながらポツリと言った。

 「本来、予選会はひっそりと行うものなんだけどね。あくまで予選なんだから」

 なるほど。私は納得した。

 ただそれは、予選会を勝ち抜いた先に、新春の晴れ舞台が待っていることが大前提の話だった。

 運に恵まれ、私は箱根駅伝本戦に出場することができた。

 沿道に誰もいない大井ふ頭では、聞こえるのは自分と隣を走る選手の息遣いと足音だけ。

 沿道に二重三重の人垣ができる箱根路では20キロ超、大声援が続いた(最下位だったけど)。

 そのギャップに、箱根駅伝に出場できた喜びを改めて感じたことをはっきりと覚えている。

 この日、入念なコロナ対策が取られた予選会が終了し、第97回箱根駅伝に出場するチームが決まった。主催の関東学生陸上競技連盟は安全・安心な開催に向けて本戦も「今回はテレビで応援してください」と呼びかける。多くの苦難を乗り越えて臨む晴れ舞台が普段と違うことに選手は寂しさを感じるだろうけど、100年を超える歴史で事実上初となる「無観客」の箱根駅伝を走ることは、きっと意味があるはず。寂しさ以上に走る喜びを感じることができると思う。そう願いたい。(箱根駅伝担当・竹内 達朗)

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