【駅ペン】いつもと違う箱根予選会、未知の領域にドラマの予感

過去の箱根駅伝予選会の様子
過去の箱根駅伝予選会の様子
箱根駅伝予選会コース
箱根駅伝予選会コース

 いつもと違う。ドラマの予感が漂う。今年は史上初の無観客での周回レース。101年目の箱根駅伝本戦に続く未知の領域だ。世界へ羽ばたいた名選手も経験したことのない戦いに、46校の学生ランナーたちは走り出すことになる。

 私が最初に思い浮かべたのは雨だった。いろいろな感情も湧き上がってくるが、まず思い出したのは頬をつたう冷たい雨粒。順大2年時に経験した2011年の予選会は実に20年ぶりの雨天決戦。まさに、いつもと違う予選会だった。

 徐々に雨脚が弱まり、レースが終わる頃には雲の切れ間から光も差した。結果発表。脳裏には13位に終わり、2年連続で予選落ちした前年の悪夢がよぎった。

 「9位、順天堂大学」。突破。喜んで、抱き合って。雨なのかうれし涙なのか分からないまま、感情のあふれ出すままに仲間たちと高らかに校歌を響かせた。沢木啓祐・名誉総監督の「お粗末」という言葉だけが耳に残った前年とは違い、世界が色鮮やかに見えた。

 3年ぶりの本戦出場を、本紙では「順大、滑り込み復活」と取り上げた。沢木名誉総監督のこんなコメントも載っている。「劇的な結末」。関東インカレポイントというアドバンテージに救われての逆転切符、そして数字では計り知れない雨というコンディション。だからこそ名将は続けた。「ただ、実力ではなく運が良かった。箱根では実力ではい上がることを信じている」

 晴れていたら、観客がいたら、公園内を走れたら―。レース中に、そんなふうに思い浮かべたら負けに直結するだろう。今の自分にコントロールできないことを考えるのは、エネルギーの浪費。仲間と自分を信じて全力を尽くすのは、どの時代も変わらない。そうして運をたぐり寄せ、実力で本戦7位とシード権を勝ち取ったあの頃のチームが、今でも私の誇りであるように。(箱根駅伝担当・太田 涼)

過去の箱根駅伝予選会の様子
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