【箱根予選会】徳本一善監督率いる駿河台大が15位敗退で初出場ならず 「元中学校先生」選手も涙

箱根駅伝出場を目指し、予選会で走る各校の選手たち(代表撮影)
箱根駅伝出場を目指し、予選会で走る各校の選手たち(代表撮影)

◆報知新聞社後援 第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)予選会(17日、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地内周回コース=21・0975キロ)

 出場46校が上位10人のハーフマラソンの合計タイムで競い、上位10チームが箱根駅伝本戦の出場権を獲得した。前回12位の駿河台大は15位で敗退し、念願の初出場を逃した。トップ通過は順大。前回優勝の青学大はじめシード10校、予選会通過10校とオープン参加の関東学生連合の計21チームが新春の箱根路に臨む。

 予選会は例年、陸上自衛隊立川駐屯地をスタート、立川市街地を回り、国営昭和記念公園ゴールのコースで行われているが、今回は新型コロナウイルス感染防止対策として、無観客で陸上自衛隊立川駐屯地内の1周約2・6キロの滑走路を周回するコースで開催された。各校14人以内の登録選手から当日に12人以内が出走。駿河台大のランナーは平たんなコースを舞台としたレースで波に乗れず、史上44校目の箱根駅伝出場校として名乗りを上げることはできなかった。

 「15位、駿河台大」

 チームの待機所に知らせが届けられると、徳本一善監督(41)、石山大輝主将(4年)らは沈痛な表情を見せた。

 徳本監督は箱根駅伝史に残る伝説のランナー。法大時代に4年連続出場。1年時1区10位、2年時1区区間賞。3年時は2区2位でチームをトップに引き上げる活躍を演じたが、4年時はまさかの暗転。2区をスタート直後に右足を痛め、7・6キロで地点で途中棄権を強いられた。大手町スタートから28・6キロ地点での途中棄権は箱根駅伝史上最短記録。箱根路で天国も地獄も味わった。さらに箱根駅伝史上初めて茶髪とサングラスで疾走したとされる選手としても名を残す。

 個性あふれる指揮官は2012年に駿河台大監督に就任。年々、独自の強化策を編み出した。昨年からは夏合宿の最終日は午前中に現地を引き上げ、埼玉・飯能市のホームグラウンドでタイムトライアルを敢行することを恒例とした。「合宿先で最後に追い込むと、そこで満足してしまい、帰ってきてダラダラしてしまう。合宿の成果を次につなげるために最終日は飯能でポイント練習をします」と徳本監督はその狙いを明かす。指揮官の強化策はチームに浸透しつつあったが、予選会を突破するには、まだ力が足りなかった。

 今季、異色の選手が加わったことも駿河台大に変化を与えた。埼玉・飯能市内の中学校で体育教師を務めていた今井隆生がチームに加入。8月に30歳になった“オールドルーキー”は教員の「自己啓発等休業」の制度を利用し、駿河台大3年生に編入する。一大決断をした理由は、教師として成長するためだった。「担任したクラスの中で不登校の生徒がいました。私なりに一生懸命アプローチしたが、結局、生徒の力になれなかった。教師として力不足を実感した」。悩んでいた時、同じ飯能市内にキャンパスがある駿河台大に心理学部があることを知った。「今まで勉強していなかった分野を学んで、もっと生徒に寄り添える先生になりたい」と実直に話す。

 11年ぶりに大学生になる機会を生かし、封印していた“夢”にも挑戦することを決意。東京・大泉高時代は陸上部に所属し、箱根駅伝出場を目標としていたが、全国レベルに程遠く、日体大入学後はトライアスロンに転向した。卒業後も実業団でトライアスロン選手として活動。走力を磨くために参加した陸上の練習会で駿河台大の徳本と知り合い、アドバイスを受けるようになった。

 2016年にトライアスロン選手として現役を引退し、埼玉県の教員に。体育教師、陸上部顧問を務めながら市民ランナーとして多くの大会に参加した。勤務先の中学校が駿河台大と近かったため、休日は生徒を指導した後、駿河台大で練習を重ねた。いつしか箱根駅伝出場という夢を現実的に考えるようになった。「駿河台大で心理学を勉強して、箱根駅伝にも一緒に出場しようぜ」。徳本監督の熱いエールが最終的に今井の背中を押した。

 今井は、選手兼コーチのような立場で仲間を鼓舞し、駿河台大に欠かせない選手になった。この日の予選会でも力走したが、夢の箱根路は遠かった。

 徳本監督にとっては法大4年時の2002年以来、19年ぶりに箱根路に参戦まで、あと一歩に迫ったが、2区の7・6キロで地点で止まっている時間を動かすことはできなかった。2022年、第98回箱根駅伝に向けて、厳しく、険しい戦いに挑むしかない。

 【第97回箱根駅伝予選会結果】

 (1)順大(10年連続62回目)

 (2)中大(4年連続94回目)

 (3)城西大(2年ぶり16回目)

 (4)神奈川大(11年連続52回目)

 (5)国士舘大(5年連続48回目)

 (6)日体大(73年連続73回目)

 (7)山梨学院大(2年ぶり34回目)

 (8)法大(7年連続81回目)

 (9)拓大(8年連続42回目)

(10)専大(7年ぶり69回目)

 以上、予選通過

(11)筑波大(2年連続62回目ならず)

(12)中央学院大(19年連続22回目ならず)

(13)麗沢大(初出場ならず)

(14)上武大(2年ぶり12回目ならず)

(15)駿河台大(初出場ならず)

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